十全化学本社社屋

2023 / 十全化学株式会社

富山市で医薬原薬の受託製造などを行っている、十全化学の新本社社屋。富山の自然と文化に着目し、社員がリフレッシュできる工場群で憩いの場所となる社屋を目指した。

敷地は、街区の角に民家と小さな公園があるためクランクした形状となっている。民家に影を落とさないよう建物はL字型のボリュームにして、公園のオープンな空間を囲う形とした。1Fにはエントランスロビー、2Fにはメインのワークエリア、3Fに食堂、4Fに管理部門と屋上テラス、5Fをミーティングスペースとして、L字の平面の中心に垂直動線を配置し、各階に効率よくアクセスできるようにした。

外周部をガラスファサードとしたことで、周辺の工場群、西側の神通川、東側の立山連峰を望むことができ、その先には外に出てリフレッシュできるバルコニーを設けた。このバルコニーはペリメーターゾーンの環境調整装置としても機能している。内部の天井は針葉樹のルーバーで覆われ、デッキの上部の軒裏まで連続しており、樹木の下のような自然で温かみのある空間となっている。

神通川の氾濫域に位置するため、防災対策のために設けたピロティの天井も木ルーバーで覆われており、かつて日本海海運で薬売りの活動も支えた北前船の船底のような形状をしている。ピロティには富山の豊かな森林の薬草や屋敷林のような樹木を植え、隣接した公園とも連続させることで、社員だけでなく、近隣住民や訪問者も散策できる緑の空間とした。

設計監理:キー・オペレーション+パーク・コーポレーション設計共同体
構造設計:構造設計工房デルタ
設備設計:コモド設備計画
照明計画:LIGHTLINKS
施工:日本海建興
写真:小山光
規模・構造:鉄骨造 地上5階
延床面積:1,885.24m2

十全化学本社屋 落成動画

小山光(建築家)

小山光(建築家)

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所代表取締役。英国王立建築家協会会員。1970年東京都生まれ。1994年東京都立大学卒業後、1996年ロンドン大学バートレット校建築修士課程修了、1998年東京工業大学建築学修士課程修了。David Chipperfield Architectsなどの海外設計事務所で働いた後、2005年に株式会社キー・オペレーションを設立。

おもな受賞歴にThe Architizer A+Awards 2022 Firm of the Year Best of Asia 審査委員賞、AR Future Projects Awards 2021 Winner受賞 、RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞など。千葉大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。

https://www.keyoperation.com/
https://www.instagram.com/keyoperation_architects/
https://www.youtube.com/@akirakop/videos

2023/5/24 15:55