銀座の小さなビル

2022 / ランドプール

銀座コリドー街から花椿通りに入ったところの、幅6.27m、奥行5.46mの10坪しかない敷地に建てられた小さなテナントビル。

奥行方向に階段とエレベーターを設置するには地下の基礎躯体を隣地境界の間を200mm程度まで寄せる必要があったため、通常の山留めの施工ができず、地下の躯体を地上で打設し、後からした土を掘って基礎自体の自重で沈めていく「潜函工法」が採用された。

それ以外にも、狭小地に建てるために、さまざまな工夫が施されている。電気の引込開閉器盤、MDFは地下室に配置され、汚水桝を設置する外部空間の確保が困難だったため、正面の窓サッシの腰部分のみをセットバックして外部化して汚水桝を設置。西側のスペースは設備配管を通すためのパイプスペースにしているが、吸気口を設けられるように外部化している。テナント工事が後からできるように、この外部パイプスペースに面する壁には大きなけんどん式の点検パネルを設け、外側はエキスパンドメタルで覆った。

ファサードはラグジュアリー感を求めるテナント誘致のためにゴールドとした。階段側には広告塔としてグラフィックなども掲示できる内照式のFFシートのサインを設けた。

敷地:東京都中央区銀座
用途:商業テナントビル
竣工:2022年3月
設計監理:小山光+キー・オペレーション
構造設計:構造設計工房デルタ
設備設計:コモド設備計画
施工:大原工務所
写真:矢野紀行
敷地面積:34.28m2
建築面積:28.34m2
延床面積:167.76m2

銀座の小さなビル
小山光(建築家)

小山光(建築家)

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所代表取締役。英国王立建築家協会会員。1970年東京都生まれ。1994年東京都立大学卒業後、1996年ロンドン大学バートレット校建築修士課程修了、1998年東京工業大学建築学修士課程修了。David Chipperfield Architectsなどの海外設計事務所で働いた後、2005年に株式会社キー・オペレーションを設立。

おもな受賞歴にThe Architizer A+Awards 2022 Firm of the Year Best of Asia 審査委員賞、AR Future Projects Awards 2021 Winner受賞 、RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞など。千葉大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。

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2023/5/24 15:55