東池袋テラスビル

2022 / シティホームズ

池袋東口のサンシャイン60通りとサンシャイン通りを繋ぐ脇道に面した、ラウンドワンの大きなビルとラウンドワンの機械式駐車場の建物に挟まれた敷地に建つ、地上8階・地下1階の商業テナントビル。

間口6.8m、奥行き16mという間口の狭い敷地のため、通常であればアピールできるファサードが前面のみに限定されたが、左右のラウンドワンの建物は10階建てにするため3mほどセットバックしており、前面以外に側面の一部もファサードとして見せることができるという条件だった。屋外避難階段の周囲2mは開口制限があるため、階段横のファサード面を前面まで押し出すと、ファサード面のほぼすべてが壁になってしまうが、テラスを設けてセットバックすることで、開口制限をかわして大きな開口とし、内外を連続させてテラスを使用できるように、全面開放できる折り戸のサッシを設置した。

サンシャイン60通りからアプローチすると、この積層するテラスは大きな袖看板のように見えて、賑わいを通りにアピールすることができる。さらに建物に近づくと、ファサードは立面図としての見え方ではなくなり、見上げて見える軒裏がファサードとなる。このテラスの軒裏は燻製したアッシュで仕上げ、さらに手すりの上に設置された照明でライトアップすることで、このビルで一番目につく軒裏の天井面をもう一つのファサードとして立体的に表現している。

外壁面のアスロックも木目のあるものを採用し、塗装も木調にして、モノトーンなラウンドワンの建物に対して有機的な佇まいを対照的に見せるようにしている。 立体的な垂直ガーデンテラスをつくることで、それぞれのレストランがもっと街に関わることができる空間を持ち、人と交通が行き来する都市のなかで食事を楽しめるダイナミックなパブリックランドスケープを提起している。

敷地:東京都豊島区東池袋
用途:商業テナントビル
竣工:2022年11月
設計監理:小山光+キー・オペレーション
設計協力:小林泉
構造設計:構造設計工房デルタ 
設備設計:エナ・デザインコンサルタント
施工:中央建設
写真:矢野紀行
敷地面積:103.54m2
建築面積:75.83m2
延床面積:680.43m2

東池袋テラスビル 解説動画
小山光(建築家)

小山光(建築家)

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所代表取締役。英国王立建築家協会会員。1970年東京都生まれ。1994年東京都立大学卒業後、1996年ロンドン大学バートレット校建築修士課程修了、1998年東京工業大学建築学修士課程修了。David Chipperfield Architectsなどの海外設計事務所で働いた後、2005年に株式会社キー・オペレーションを設立。

おもな受賞歴にThe Architizer A+Awards 2022 Firm of the Year Best of Asia 審査委員賞、AR Future Projects Awards 2021 Winner受賞 、RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞など。千葉大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。

https://www.keyoperation.com/
https://www.instagram.com/keyoperation_architects/
https://www.youtube.com/@akirakop/videos

2023/5/24 15:55