第296回 本多沙映 (デザイナー・アーティスト)

[桐山登士樹の推薦文]

デザイナー、アーティストの本多沙映さんを的確に紹介するのは難しい。この数年間の活動に興味を抱き、まだ点が線、面になるような理解まで進んでいないのが正直なところだ。

最初にお会いしたのは、we+の東日本橋のスタジオ。その時のインプットはジュエリーデザイナー。それまで活動の拠点だったオランダの自由で伸びやかな環境下、さまざまな可能性、表現を求めてきた人だと理解した。

そして、昨年のミラノデザインウィークで中央駅の高架下で行われた合同展「DROPCITY」で再会。説明していただいた作品は、廃棄されるフェイクファーのはぎれにフェルティング技術を応用した「Cryptid」。この作品は、その後21_21 DESIGN SIGHTの企画展「Material, or」でも拝見することができた。

本人が自ら標榜している「オルタナティブな美意識」の追求者として、いまは理解しておくことが相応しい気がしている。次に会える作品(デザイン)への期待に胸躍る。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

本多沙映(デザイナー・アーティスト)

1987年千葉県生まれ。2010年に武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科を卒業後、IDÉEを経て渡蘭。2013年からアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーのジュエリー学科で学び、2016年に卒業。2021年にオランダから日本に拠点を移し、国内外で自主制作作品を発表するほか、コミッションワークも手がける。

作品はオランダのアムステルダム市立美術館、アムステルダム国立美術館、アーネム博物館にて永久所蔵。著書に「EVERYBODY NEEDS A ROCK」、「Anthropophyta / 人工植物門」(torch press)など。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科非常勤講師。グッドデザイン賞審査員(2023)。

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