関内の集合住宅

2021 / トーシンパートナーズ

関内駅から徒歩5分の不老町の交差点に面する、角地に計画された集合住宅。

戦後横浜には多くの防火帯建築が建てられたが、この敷地に元々建っていたビルもそのひとつであった。このプロジェクトでは、各階のスラブを前面まで持ち出して水平ラインを強調する事で、水平性のあるファサードが特徴的な近隣の防火帯建物に馴染ませるようにしている。

また、バルコニーで小さな住戸ユニットが強調されず、ファサードを大きな面として表現しつつも、内部から感じる開放感を確保するために、これらの水平スラブの間に縦糸のようにHPCという薄いコンクリートパネルを配置した。隔て壁部分には住戸区画を兼ねた奥行きの深いパネル、それ以外の部分にも様々な奥行きのパネルをランダムに設置する事で、戸境を目立たせないようにしつつ、ファサード全体をリズミカルな面として表現した。

バルコニーが前面に出てくる分譲マンションではファサードが面として形成されないことが多いが、このプロジェクトでは、防火帯建築が目指した街並みを形成するファサードを実現した。このファサードに正対すると、パネルはその薄さのために糸のように細い要素として見え、まわりの空気を繊細に分節するような緊張感がある。角度をつけてファサードを見ると、さまざまな奥行きのパネルのコンクリートとしての素材感も現れて、軽快さと荘厳さが同居したファサードとなっている。

敷地:神奈川県横浜市
用途:集合住宅
竣工:2021年3月
設計監理:小山光+キー・オペレーション
構造設計:構造設計工房デルタ
設備設計:コモド設備計画
施工:藤木工務店
HPCコンサルタント:細矢仁
写真:矢野紀行、小山光
敷地面積:468.83m2
建築面積:336.94m2
延床面積:3252.48m2

関内の集合住宅 ZOOM横浜関内
小山光(建築家)

小山光(建築家)

株式会社キー・オペレーション一級建築士事務所代表取締役。英国王立建築家協会会員。1970年東京都生まれ。1994年東京都立大学卒業後、1996年ロンドン大学バートレット校建築修士課程修了、1998年東京工業大学建築学修士課程修了。David Chipperfield Architectsなどの海外設計事務所で働いた後、2005年に株式会社キー・オペレーションを設立。

おもな受賞歴にThe Architizer A+Awards 2022 Firm of the Year Best of Asia 審査委員賞、AR Future Projects Awards 2021 Winner受賞 、RIBA (英国王立建築家協会) 国際賞受賞など。千葉大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。

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2023/5/24 15:55