Shima Uma

2023 / Dolce & Gabbana

本作はドルチェ&ガッバーナとのコラボレーションによって制作されたもので、多様な文化的影響を反映した作品です。タイトルの「Shima Uma」は「しまうま」を意味し、その特徴的な黒と白の縞模様は単なる2色ではなく、常にその中間にある曖昧な色合いを持っています。この曖昧さが作品の持つ境界を超えたコンセプトと深く結びついています。

初見では一見すると混沌とした印象を受けるが、実際には細部にいたるまで緻密に設計され、異なる素材が調和することでエレガントかつ温かみのある表情を生み出しています。金メッキガラスの豪華な輝き、木材の温もり、そして寄木細工の繊細さが互いに引き立て合い、さらに側面にあしらわれたカラフルで柔らかな刺繍シルクの布が遊び心を添えることで、家具とファッションの見事な融合を体現しています。

デザイナーは視覚的なインパクトだけでなく、使う人の感情に響く作品づくりを目指しています。本作は自身の青春期の記憶や情熱、多様な文化と伝統の融合を映し出すと同時に、それらを越えて普遍的なメッセージを伝えようとしています。ドルチェ&ガッバーナ カーサとの協働は、デザインとクラフトマンシップの新たな可能性を追求する貴重な機会となりました。

「Shima Uma」は言語、文化、国籍、部族、そしてクラフトマンシップが一体となり、作り手の記憶と情熱が凝縮された作品です。

写真:James Harris

リオ コバヤシ(デザイナー・作家)

リオ コバヤシ(デザイナー・作家)

イギリスを拠点に活動するデザイナー兼作家。陶芸家と修復家の両親のもと、日本とヨーロッパの文化が入り混じる家庭に育ち、コンセプチュアルな探究心とクラフトマンシップへの深いこだわりを融合させた作品を手がけている。栃木県で生まれ、幼少期に初めて家具を制作。18歳でオーストリアに渡り、3年間の家具職人修行を通じて、多文化的な視点と確かな技術を培った。

その後、ベルリン、ミラノ、東京、パリなどでのコラボレーションを重ね、2017年にイースト・ロンドンに自身の工房を設立。素材、物語性、フォルムの対話を軸に制作を続けている。これまでにロンドン・デザイン・フェスティバル、ミラノ・デザインウィーク、デザイン・マイアミをはじめ、さまざまなギャラリーで作品を発表。『フィナンシャル・タイムズ』『ウォールペーパー』『ワールド・オブ・インテリア』『フォーブス』などのメディアにも取り上げられている。

http://riokobayashi.com/

2025/5/30 12:00