第314回 横関亮太 (プロダクトデザイナー)

[高橋美礼の推薦文]

多かれ少なかれ、量産品のデザインには公共性が求められる。個人的に使うためのものであっても、社会で共有するためのものであっても、そこにはデザイナー自身のリテラシーや責任感が問われるものだ。

横関さんが手がけてきたプロジェクトの数々には、多様化し続ける価値観に向き合いつつ、そうした社会的責任を静かに受け止めるような強さが表れでている。日常生活に浸透する家電から、間伐材を活かしたパブリックファニチャー、空間デザイン、さらには日本のインハウスデザイナーたちによる展覧会まで、幅広く動きながら提案する新しい体験にはいつも注目していきたい。

現実的な課題に軸足を置きながら描き出す、可能性に満ちた未来像を、これからも見せてほしい。

高橋美礼(デザインジャーナリスト)

ミラノ・ドムスアカデミーにてマスターデザインコース修了後、フリーランスとして多領域のデザインにかかわりながら国内外のデザインを考察し、書籍や雑誌、ウェブ媒体での執筆、編集をおこなう。多摩美術大学芸術学科非常勤講師、法政大学デザイン工学部兼任講師。

https://www.instagram.com/mireissue/

編集部からの推薦文
先日、AXIS Galleryで開催された「Industrial Romanticism」を拝見した。参加企業は日本を代表する7社で、このラインナップだけでもインパクトがあったが、さらに印象的だったのは、各企業が普段ユーザーにはなかなか伝えきれない“発想の原点”や“デザインへの想い”を「ロマン」として提示していた点。展示は端正で理性的でありながら、その内側には確かな情熱が宿り、冷たさと熱さを行き来するような魅力を放っていた。

デザインといえば「課題解決」をするものと言われるが、その手前に存在する、デザイナーが本来持っている個性や想いにもっと触れたいという思いが、近年強くなっている。社会やライフスタイルの変化に柔軟に応じながら、製品デザインや展示のディレクションをおこなう横関さんの力量を垣間見ることができ、今後の活躍がますます楽しみになった。
横関亮太(プロダクトデザイナー)

横関亮太(プロダクトデザイナー)

1985年岐阜県生まれ。金沢美術工芸大学製品デザイン学科卒。2008年から2017年までソニー株式会社クリエイティブセンター勤務。2017年RYOTA YOKOZEKI STUDIOを設立。ライフスタイルの多様化に寄り添い体験価値を高めるデザインを大切にし、家具、電化製品、生活用品など国内外のさまざまなプロジェクトにおいて、プロダクトデザインやクリエイティブディレクションをおこなっている。「AIZOME chair」がVitra Design Museumに永久所蔵。iF Design賞、Good Design賞など受賞多数。

https://www.ryotayokozeki.net/