永井友紀子(モザイクアーティスト/作家)
1981年新潟県生まれ。多摩美術大学で環境デザインを学んだ後、モザイクの本場であるイタリア・ラヴェンナ市立美術大学へ留学し、伝統的なモザイク技法を習得。2011年より本格的に作家活動を開始し、現在にいたるまでラヴェンナを拠点に制作を続けている。
作品は「さまざまな素材をモザイクへと置き換える」というコンセプトに基づき、素材の持つ魅力を最大限に引き出しながら、モザイク技法と家具デザインを融合させた唯一無二のアートワークを創り出す。伝統的なクラフトマンシップと現代的なデザインを組み合わせることで、芸術性と機能性を両立させた独創的な作品を生み出している。ミラノのSpazio Rossana Orlandiや、ニューヨーク、ロサンゼルスなどに拠点を置くThe Future Perfectといった主要なギャラリーから、一点物の作品を発表している。
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永井さんの作品をはじめて目にしたのは、we+がミラノのロッサーナ・オルランディ・ギャラリーで作品発表をはじめた2017年のことだった。モザイクタイルを精緻に組み合わせた装飾のベンチは、周囲のヨーロッパ出身デザイナーの作品群と自然と調和していた。それが日本人の作品だと知り、思わず驚かされた記憶がある。
留学を経てイタリアを拠点に活動する永井さんの作品には、日本人がヨーロッパで作品を発表する際にしばしば見られる気負いがない。イタリアの空気が作品に溶け込み、タイルやガラス、石によって繊細に構成されたモザイク模様は、まるで織物のようにしなやかに工芸とデザインの境界を溶かし、見るものを静かに引きこんでいく。
コレクティブルデザインという潮流が、現在ほど大きなうねりになる以前から、第一線で活動してきた永井さんは、混沌の度を増すこれからのデザインシーンと、どのように向き合っていくのだろうか。
we+(コンテンポラリーデザインスタジオ)
リサーチと実験に⽴脚した独⾃の制作・表現⼿法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北⽃により2013年に設⽴。日々の研究から生まれた自主プロジェクトを国内外で発表しており、そこから得られた知見を生かした、R&Dやインスタレーション等のコミッションワーク、プロダクト開発、空間デザイン、アートディレクションなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。FRAME Awards、Wallpaper* Design Awards, Dezeen Awards、ELLE DECO International Design Awards等受賞多数。作品はドイツのVitra Design Museumなどに収蔵されている。
http://www.weplus.jp