第320回 高田陸央 (デザイナー/アーティスト)

[we+の推薦文]

越前和紙を貼り重ねた、石のような表情を持つ家具のシリーズ「Time-Crafted」。そのユニークな素材使いやボールドな造形は、和紙の軽やかな質感とは対極にあり、伝統を更新させようとする強い意思を感じさせる。

高田さんの活動は極めて今日的だ。平日は都内でインハウスデザイナーとして空間デザインに従事し、週末はデザインチーム「閃」のメンバーとして、福井で職人と膝を突き合わせ、ものづくりに取り組む。メーカーという組織に身を置くことで、長期的な視点から、工芸や地域の文化への深い介入を続けている。

20代後半という若さながら、どこか達観したような落ち着きを感じさせるのも彼の魅力だ。独立を急がず、「企業に勤めながらも産地に根ざす」という彼の活動は、次世代のデザイナーが直面する、社会との関わり方に対する一つの回答になるだろう。伝統を軽やかに背負い直し、地域のコミュニティと共にカタチにする。高田さんの活動が、今後どのように世界へと響き渡っていくのか、大きな期待とともに注視していきたい。

we+(コンテンポラリーデザインスタジオ)

リサーチと実験に⽴脚した独⾃の制作・表現⼿法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北⽃により2013年に設⽴。日々の研究から生まれた自主プロジェクトを国内外で発表しており、そこから得られた知見を生かした、R&Dやインスタレーション等のコミッションワーク、プロダクト開発、空間デザイン、アートディレクションなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。FRAME Awards、Wallpaper* Design Awards, Dezeen Awards、ELLE DECO International Design Awards等受賞多数。作品はドイツのVitra Design Museumなどに収蔵されている。

http://www.weplus.jp

編集部からの推薦文
「DESIGNTIDE TOKYO 2024」の会場で初めて「Time-Crafted」を拝見した。大理石やマーブリングを施した岩石のような、モノトーンの美しい斑紋が目を引き、多くの来場者が足を止めていたのを思い出す。

今回ご紹介いただいた事例を見ると、直近では世界的ファッションブランド「Calvin Klein」のフラッグシップストアの什器にも「Time-Crafted」が採用された。伝統的な職人の技術や文化にインスピレーションを得た作品が、新たなジャンルや業界へと進出していく様子が垣間見える。福井という土地から発信される魅力が、今後どこまで広がり続けるのかとても楽しみだ。
高田陸央(デザイナー/アーティスト)

高田陸央(デザイナー/アーティスト)

1998年三重県生まれ。2021年金沢美術工芸大学デザイン科卒業。東京でインハウスデザイナーとして働きながら福井を拠点にデザインチーム「閃」としても活動。生活する中で出会った、伝統的な職人の技術や文化にインスピレーションを得た作品を中心に制作を続けている。

https://rikuo-takata.com/