村瀬弘行(suzusan CEO/クリエイティブディレクター)
400年以上の歴史を持つ有松鳴海絞りの家系に生まれ、ドイツを拠点に活動を開始。伝統技術を現代の衣服やプロダクトへと再解釈するブランド「suzusan」を展開する。有松でのものづくりを軸に、製品開発から空間体験までを横断しながら、地域と世界をつなぐ取り組みを実践している。近年は、日本のものづくりを海外へ伝えるとともに、つくり手とつかい手が行き交う関係性を育むプロジェクトや、異分野との協働を通じて、クラフトの新たな可能性を探求している。
https://suzusan-shibori.com/






村瀬弘行さんに初めてお会いしたのは、15年以上も前のこと。アンビエンテの会場で、絞りの技法でつくられたランプシェードに目がとまったのだった。デュッセルドルフで始動したばかりという「suzusan」から発表していたその照明コレクションは、良質な生地が絞り加工の応用によってやわらかな陰影をまとい、静けさのある優しい光を放つ様子が印象に残った。
その数年後、ミラノ・デザインウィークに合わせてイタリアの豪奢な邸宅を会場に、絞り染めによって趣のある表情をもったブランケットやクッションといった新作が披露されたときにも、そのクリエイティビティに新鮮な感動を覚えた。いまや、絞り模様の美しさや偶発的でもある染めの魅力をファッションやアートの世界で展開する中心に、村瀬さんがいる。
名古屋市有松で受け継がれてきた染色技法、有松鳴海絞りの新たな地平を、これからも自由にボーダーレスな領域を広げ続けながら、驚きとともに見せてくれるだろう。
高橋美礼(デザインジャーナリスト)
ミラノ・ドムスアカデミーにてマスターデザインコース修了後、フリーランスとして多領域のデザインにかかわりながら国内外のデザインを考察し、書籍や雑誌、ウェブ媒体での執筆、編集をおこなう。多摩美術大学芸術学科非常勤講師、法政大学デザイン工学部兼任講師。
https://www.instagram.com/mireissue/