Mikadokun : Mikadochan

2017~

この「Mikado Collection」は、私たちの最初の作品であり、ヨーロッパで広く知られるテーブルゲーム「ミカド」から着想を得たシリーズです。ゲームで使われる細く繊細な棒のバランス感を家具の構造に置き換え、遊び心と緊張感が共存するデザインに仕上げました。

棚などの構造体には、先端を尖らせたアッシュ材の丸棒を使用し、赤・青・黄に手作業で塗装することで、ゲームのスティックを思わせるビジュアルを再現しています。接合部は精密に加工され、繊細でありながら確かな強度を備えています。棚板は支柱の丸棒の上に載せられ、さらに上部から小さなダボで固定されています。

私たちは職人技に対する深い敬意を持つ一方で、東洋と西洋にまつわるイメージの誤解や先入観に対しても、強い関心を抱いています。例えば、「Mikado」という日本風の名称を持つこのゲームは、実際にはヨーロッパで考案され、20世紀に「アジア発祥の遊び」として広まったという歴史的背景があります。このような文化的なねじれを踏まえ、多文化的な環境で育った私たちだからこそ表現できる独自の視点と遊び心を込め、「ユーモアを交えた楽しい家具の創作」という理念のもと、本シリーズは誕生いたしました。

写真:James Harris

リオ コバヤシ(デザイナー・作家)

リオ コバヤシ(デザイナー・作家)

イギリスを拠点に活動するデザイナー兼作家。陶芸家と修復家の両親のもと、日本とヨーロッパの文化が入り混じる家庭に育ち、コンセプチュアルな探究心とクラフトマンシップへの深いこだわりを融合させた作品を手がけている。栃木県で生まれ、幼少期に初めて家具を制作。18歳でオーストリアに渡り、3年間の家具職人修行を通じて、多文化的な視点と確かな技術を培った。

その後、ベルリン、ミラノ、東京、パリなどでのコラボレーションを重ね、2017年にイースト・ロンドンに自身の工房を設立。素材、物語性、フォルムの対話を軸に制作を続けている。これまでにロンドン・デザイン・フェスティバル、ミラノ・デザインウィーク、デザイン・マイアミをはじめ、さまざまなギャラリーで作品を発表。『フィナンシャル・タイムズ』『ウォールペーパー』『ワールド・オブ・インテリア』『フォーブス』などのメディアにも取り上げられている。

http://riokobayashi.com/

2025/5/30 12:00