BACKSTAGE

2019

「style」

埼玉県戸田市にあるマンションの一室の改修。新築を建てたいという施主と、土地探しから相談にのる中で、自分の暮らしのスタイルや大事にしたいものによって、新築か改修か、戸建てかマンションか、自分や家族にとってしっくりくるものを選ぶといいという話をした。そして施主はマンションの改修を選び、家族が集える大きな部屋とよくあるマンションとは異なる雰囲気となることを望んだ。

そこで、部屋の中心に最大限広い空間をつくり出す馬蹄形のスペースと、その裏側に寝室やトイレ、洗面所や収納、玄関が取り巻くプランを提案した。中心となる部屋は、広いがゆえに馬蹄形の先端のスペースには固定された使い方が生じず、クリスマスツリーが置かれたり、子どもの遊び場になったり、髪を切ったり、この家のステージのような場所となった。そのステージに面する5つの扉の一つは玄関につながり、玄関の先には当たり前だが外の世界が広がっている。家族が集う空間が自分にとってのハレの場所だと思える空間が、この施主のスタイルに合っていると思った。

写真:白井晴幸

湯浅良介(建築家)

湯浅良介(建築家)

1982年東京都生まれ。Office Yuasa主宰。一級建築士、修士(美術)。2010年東京藝術大学大学院修士課程修了。内藤廣建築設計事務所を経て、2018年よりOffice Yuasaを主宰。2019年から東京藝術大学教育研究助手、2022年から多摩美術大学非常勤講師。おもな受賞歴に東京藝術大学吉田五十八修了制作賞受賞、東京建築コレクション内藤廣賞受賞など。

https://www.yuasaryosuke.com/
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2022/11/9 11:50