白金台のオフィス

2018 / 株式会社コーネルド

商業施設に入居する、オフィスの新しい形

都市に建つ複合用途ビルの2階の1区画を、映像製作会社のオフィスへとコンバージョンするプロジェクト。躯体を現したラフな内装に、木材を多用した空間構成としている。

オフィス中央には大きなキッチンを配しており、料理が趣味の社長自らがキッチンに立ち、スタッフのための昼食をつくる。キッチンにつながる大きなテーブルは、執務スペースとしても交流の場としても、食事を囲むテーブルとしても撮影の場としても機能する。複数設けた小さなブースは、VRや3Dを得意とする会社ならではの本格的なサーバー室や、モーションキャプチャを行うための室として利用している。また、メインの事務所に加えてシェアオフィスとしての機能を有しており、入居者同士の交流がキッチンで生まれている。

共用廊下との境のガラススクリーン越しに、テナントとして入居する保育園や商業施設へ行きかう人々が物珍しそうに覗き込む。お店だと思って迷い込む子供もいて、オフィスのメンバーが遊んであげたりもする。昨今、商業施設は空きテナントが目立つが、オフィスが入居することで新しい複合施設の可能性を感じたプロジェクトである。(吉田周一郎+石川静)

撮影:藤井浩司(TREAL)

吉田周一郎+石川静/shushi architects(建築デザイン事務所)

吉田周一郎+石川静/shushi architects(建築デザイン事務所)

自然をフィールドに、建築と建築をめぐる領域をデザインするクリエイティブチーム。長年、別な道で建築を生業としてきた吉田周一郎と石川静が、2021年春にshushi architectsts(シュシ アーキテクツ)として合流。シュシには、「主旨(コンセプト)」がぎゅっと詰まった、「種子」のような建築をつくり、仲間とともに育て、世界中に花を咲かせたい、という思いが込められている。

吉田周一郎
徳島県生まれ、京都大学建築学科修了。鹿島建設建築設計部、RCRアーキテクツ(スペイン)を経て、2008年に吉田周一郎建築設計を設立。2016年にshushi architectsに改称。

石川静
東京都生まれ、東京都立大学建築工学科卒業。NTTファシリティーズ、三菱地所設計を経て、2021年にshushi architectsに合流。

https://shushi.tokyo/

2021/8/4 14:35