2019年に開催されたミラノデザインウィークでの大日本印刷株式会社(DNP)のインスタレーション。
「Patterns of Nature」―― 自然界には無数のパターンがあります。ひとつひとつのパターンは、それぞれに異なる環境の下、進化を重ねてきた歴史のユニークな表現型です。たとえばシマウマの模様は、重なり合うことで個体の境界をあいまいにし、群として捕食者の目を混乱させ、スケールに応じて異なる機能を生んでいると言われています。多くの生物の原始形態を保つと考えられる海洋生物の多くは、呼吸をするように色やパターンを変え、時には身を守り時には求愛を行います。
ランダムなようで、我々の計算をはるかに凌駕する機能と拡張性を持つ「パターン」というゆたかな知のかたち、それらはさまざまなスケールで時を超え、多様な関係性をつむぎ出します。
本展においてnoizは、電子ペーパー特有の柔軟性、経時変化を許容するプログラム性、自発光とは異なる独特の質感を活かし、自然界に多様に現れるパターンのエッセンスを展示空間に凝縮することを試みました。電子ペーパーが組み込まれた“ゼブラ”チェアは、自然界に多様にみられるチューリングパターンが浮かび上がったり消えたりすることで、背景に溶け込んだり現れたりを繰り返します。
同様に電子ペーパーが組み込まれた“クラゲ”スツールは、海中をただよう生物の幼生のように、ゆっくりと呼吸するように色のグラデーションを変化させます。自然界はパターンでできており、あらゆる生命活動はパターンであるとも言えるかもしれません。
照明計画:岡安泉照明設計事務所
写真:阿野太一
Movie by noiz