2017年に渋谷に開館した、複合施設のファサードとランドスケープのデザイン・監修を担当しました。
施設前面に設けられた1000m2の面積を持つ広場と、地形に沿って建物を貫通する通路は、街を行き交う人の流れを誘導するとともに、新たな用途と可能性を空間として街に還元します。広場には円形が集まってできた形の植栽緑地を複数配置し、「ひだ」や「たまり」をもたせることで自然と人が集い、さまざまな居場所が見つかる構成としました。和洋混在させた植物は四季や成長によって表情を変えます。
ファサードデザインは、施設のコンセプトや街の特殊性を汲み、風がぶつかってざわめく梢や捕食者に遭遇して突然向きを変える魚群といった、自然界の中での「群」としての動きに着眼しました。施設高層部はリブ状のコンクリートファサードによって動きをもたせています。広場に面した中央部は、設備バルコニーが配置されていました。通常ネガティブな要素をポジティブなキャラクターとして扱うために素材や構成、熱環境的な解析を重ね、縦型の無数かつ多方向のフィンで覆う構成としました。光の反射により時間帯や季節、天気、また人の動きに応じて「パッシブ・ダイナミック」に変化していきます。
設計・監理:日本設計・大成建設一級建築士事務所共同企業体
写真:川澄・小林研二写真事務所