第237回 安達大悟 (テキスタイルアーティスト)

[桐山登士樹の推薦文]

安達大悟さんは2017年に開催した国際北陸工芸サミットの「U50国際北陸工芸アワード」に応募いただき、「result of scaling -vitality- 」で奨励賞を受賞している。伝統技法の「板締め絞り」で制作された作品に審査員の一人、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さんが高く賞賛していたのが記憶に新しい。5連で一対とする大型作品で、素材の特性上、合わせが非常に高度な技を要するそうだ。他に紹介する作品を見ても、独特の色・素材感・デザインに長けており、今後のさらなる活躍が期待される。現在、「result of scaling -vitality-」はパリ装飾美術館に展示されているが、世界の檜舞台に立てる人だ。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

安達大悟(テキスタイルアーティスト)

安達大悟(テキスタイルアーティスト)

愛知県出身。2012年に金沢美術工芸大学 美術工芸研究科 工芸専攻修士課程を修了後、金沢卯辰山工芸工房に入所。その後、3年間の研修を経て同工房の専門員となる。作品の多くは、江戸時代には親しまれていた「板締め絞り」という伝統技法を用いたものだが、その根底には「素材の可能性を見出し可視化する」というコンセプトがある。現在は後進の育成を行いながら、板締め絞りによるタペストリーの制作やワンピースやバッグなどの制作、ホテルユニフォームのデザインをはじめ、トロフィーのデザインなどテキスタイル分野を超えた仕事も手がける。伝統と革新を行き来することで生まれる、まだ見ぬクリエイションを目指している。

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