Vectorworks ベクターワークス活用事例

「展示会」を舞台に、世界をかけ抜ける。エキスポインターナショナルの空間づくり(1)

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「展示会」を舞台に、世界をかけ抜ける。エキスポインターナショナルの空間づくり(1)

連載シリーズ「Vectorworks活用事例」では、設計に携わる方々に空間をつくる上で欠かせない設計ツール「Vectorworks」をどう工夫して使っているか、お話をうかがってきた。

今回フォーカスするのは、展示会や見本市、イベントに特化した空間づくりのプロフェッショナル集団、株式会社エキスポインターナショナル。「東京モーターショー」や「ツーリズムEXPO JAPAN」、「FOODEX JAPAN」など国内最大級の展示会から、同社の強みでもある海外企業との密なコミュニケーションを活かし、日本企業の海外出展のサポートまで多く手がけている。

そんなエキスポインターナショナルが展示会・見本市の空間づくりにかける想いや、設計におけるVectorworksの活用方法などを、取締役 企画部部長の中来田秀之さんにお話をうかがった。

グローバルな視点が強みの「エキスポインターナショナル」

そもそも、展示会や見本市とひとくちに言っても、開催規模はもちろん、食品やロボティクス、観光産業、エンターテインメントなどさまざまなジャンルのものが全国各地で開催されている。展示会場で有名な東京ビッグサイトや幕張メッセなどでは毎日のように展示会がおこなわれ、新しいビジネスが生まれている。そんな人と人、ビジネスとビジネスをつなぐ場をつくりあげているのがエキスポインターナショナルだ。

創業から35年、手がける展示会・イベントは年間100件以上。展示会へ出展する企業や政府機関のサポートだけでなく、運営事務局の代行やイベントの主催など、エキスポインターナショナルの業務は多岐にわたる。プランニングから設計、デザイン、施工、時には展示会自体の運営まで、決してぶれることのないハイクオリティなサービスを提供し続け、世界中のクライアントからの信頼も厚い。依頼のリピート率が高いのもその証拠だ。

当社は、社名に「インターナショナル」とある通り、海外との取引を得意としています。国内企業が海外の展示会に出展する際や、逆に海外企業が日本の展示会に出展する際にも、創業当初から続く経験と実績からお仕事を任せていただいています。

また、当社には語学堪能な日本人スタッフだけでなく、外国籍のスタッフも多く在籍。8カ国もの言語に対応できますし、それぞれが出身国の文化的な価値観を持っていますので、より効果の高いサービス提供が可能です。

株式会社エキスポインターナショナル 取締役・企画部部長 中来田秀之さん

株式会社エキスポインターナショナル 取締役・企画部部長 中来田秀之さん

海外での強固なネットワークを持っていることも、海外案件に強い1つの理由。同社は、世界中の展示会で広く使われているディスプレイシステムを手がける、ドイツのオクタノルム社とパートナーシップを結んでいる。オクタノルム社は、世界55各国にパートナー企業を有しており、パートナーメンバー同士の協力体制が築かれているそうだ。

オクタノルム製の「柱」や「梁」といった施工に欠かせない部材を、日本でいち早く導入しました。展示会の空間づくりに関わる人なら誰でも知っているであろう、有名な部材です。オクタノルム社との繋がりから生まれた海外ネットワークは、創業当初から私たちの業務基盤となっています。

さらに、より良い空間づくりのため、自社工場で新しい部材の設計から開発も行っています。例えば、オクタノルムはアルミ製の部材なので、アルミのテクスチャーが見えてしまうとブースのデザインによってはミスマッチになってしまうこともあります。当社では、オクタノルムの部材はそのままに、アルミの素材感を隠すための材料を作るなど、クオリティの高い空間づくりを追求し続けています。

個性豊かなパビリオンで盛り上げる、食の祭典「FOODEX JAPAN」

2020年に45回目を迎える、アジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN」。幕張メッセを会場におこなわれる同展示会は、世界中の食品・飲料メーカーらが出展し、毎年大きな賑わいを見せる。エキスポインターナショナルの仕事が光る現場の1つだ。

海外企業は、国ごとにパビリオンという大きなスペースを持っていて、その中に自国の食品メーカーや代理店のブースが軒を連ねます。アメリカのパビリオンだと、アメリカの企業が60~70社ほど出展していますね。出展企業数は、国によってまちまちです。

FOODEX JAPAN アメリカのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN アメリカのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN アメリカのパビリオン(図面)

FOODEX JAPAN アメリカのパビリオン(図面)

当社では毎年、複数の海外政府機関から依頼を受け、パビリオン全体の設計から運営管理まで行っています。各国からは「こんな感じにしたい」と要望が来て、それに応じてイメージとレイアウトを固めていきます。例えば前回のカナダのパビリオンは、従来からのカナダのイメージを踏襲しました。木目などのナチュラル素材で表現し、特に天井のグリッドには力を入れました。各社の間仕切にはイメージフォトとカナダのカエデのマークを使い、より国自体の魅力をストレートにアピールしています。

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(実際の完成写真)

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(実際の完成写真)

メキシコのパビリオンは指定のロゴがあったので、デザイン的にはそこに使われている色を使って全体のカラーリングを決めました。あとは木目の自然なイメージで南米らしさを表現しています。出展社が多く、カテゴリーも決まっているので効果的な動線作りからの作業でしたが、パビリオンとしての一体感も重視しました。それぞれ、その国の個性を大切に、特徴あるデザインに仕上げます。

FOODEX JAPAN メキシコのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN メキシコのパビリオン(パース)

FOODEX JAPAN メキシコのパビリオン(実際の完成写真)(

FOODEX JAPAN メキシコのパビリオン(実際の完成写真)

ドイツはドイツ出身のスタッフが担当、南米出身のスタッフはブラジルやメキシコといった国を担当することが多いです。みなそれぞれの国の文化に精通しているので、より的確な提案ができるのは当社の強みですね。

「FOODEX JAPAN」のイベントの施工期間は、なんと3日間しかないんです。しかも3日目は各企業が展示物や商品を持ってきて展示を始めるので、実質的には2日しか施工ができません……。電気工事や家具の入れ込み時間もあるので、施工は時間との勝負なんです。そのため、設計に関してもクオリティを保ちつつ、短い期間で施工が可能なよう、工夫を凝らした組み立て方法を考えています。

2020年3月開催の「第45回FOODEX JAPAN」でも、アメリカやカナダ、メキシコなど10数か国のパビリオンを担当する予定です。

ユニバーサルなツールで確実にイメージを伝える

パビリオン全体のレイアウトやデザインが決まってしまえば、個々のブースのカタチは基本的に同じ。しかし、その1つ1つのブースにおいて「各社の要望を反映させていくこと」が何より大変なのだそう。

複数の国、複数の企業の準備を同時進行しますので、取りまとめには何より神経を使います。準備段階では、各国の企業から要望がどんどん入って来るんです。例えば「ここにこれを置きたい」とか。でも、実際に置けるスペースがなかったり、そこに置くと商品が見えなくなってしまったり、ということも多いんです。日本人同士で国内でのやりとりなら、電話でひとこと言えば解決するかもしれませんが、海外企業で、かつ時差もあるのでそう簡単にはいきません。

さらに、言語が堪能なスタッフが対応しているといえど、海外とのコミュニケーションなので、微妙なニュアンスが伝わりづらいこともある。そんな時は「入らないでしょ?」「商品見えなくなっちゃうでしょ?」と口や言葉で言うより、世界中の多くの国で利用されているVectorworksで実際に設計図やパースを描き、直接見てもらうことが確実です。海外とのやりとりに欠かせないコミュニケーションツールですね。

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(図面)

FOODEX JAPAN カナダのパビリオン(図面)。細かい箇所まで丁寧に説明が施されている

設計やデザインでは、Vectorworksを活用しているエキスポインターナショナル。以前は、手描きでパースや図面を起こしていた中来田さんは、その便利さについて語る。

我々の仕事は、変更も多いし時間もない。いちいち平面レイヤーを修正して、立面修正して、3Dを修正して……とやっていると、時間のロスになりますし、ミスも増えてしまいます。Vectorworksで3Dをつくっておくと、3Dデータを修正するだけで、平面も立面も同じように修正されるんです。昔は1つ1つ直していたので、それがストレスなくできるのはいいですね。

また、国内案件の場合は、木工造作や電気工事に携わる協力会社などに施工に関する発注を行う際、Vectorworksのデータをそのまま渡しているんです。我々が図面データを送ると、その図面の上に先方が照明の位置や配線などを書き込んでくれる。スムーズに施工についてのやり取りができるのは、とても便利です。

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