貝印東京本社「K.A.Iビル」

社員の快適さと貝印ブランドの可視化を実現する、オフィスリニューアル

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2024年1月にフルリニューアルを終えた、刃物メーカーの貝印株式会社東京本社「K.A.Iビル」。会社創立115年という節目の年に、同社の開発指針を空間づくりに取り入れました。

設計を担当したのは、コクヨマーケティング株式会社。貝印、コクヨ、コクヨマーケティングに、フルリニューアルでの設計のポイントや特徴などについてうかがいました。

■背景

貝印の東京本社屋である「K.A.Iビル」は1993年に竣工し、2023年で満30周年を迎えました。また、会社創立115年という節目の年でもあることから、全フロアを対象にオフィスリニューアルを検討していました。

コクヨ株式会社とコクヨマーケティング株式会社の協力のもと、新型コロナウイルス感染症で加速したテレワークや商談のオンライン化、デジタルツール活用などのDX推進、ショールーム・会議室などの共通利用設備、そしてオフィス環境の最適化を目指しました。

コロナ禍を迎え、働いている人の価値観がオフィス空間に影響をおよぼすようになり、場所を選択しながら働く「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」が世界のトレンドになっています。

貝印でも、商品だけでなくオフィスやさまざまな活動に対して、貝印の開発指針「DUPS3(Design、Unique、Patent、Safety & Story & Sustainability)」を体現でき、なおかつDUPS3が生み出されるような場所を模索しました。

■コンセプト

以前より課題としていた拠点間・部門間の壁をシームレスにし、各々の得意分野や特徴を認め合い、自発的につながり、オフィスを心地よいと感じ行く価値のある場所にするために、「“KAITEKI”OFFICE(カイテキ オフィス)」をコンセプトに掲げました。

“KAITEKI”OFFICEのポイントは、下記2つです。

(1)「快適」であること(社員にとって快適な労働環境を創ること)
(2)「KAI的(貝印的)」であること(世の中に貝印の存在意義・「私たちは何者か?」を知ってもらうこと)

貝印オフィス

■特徴

1つ目の「快適」の実現に向けて、誰もが快適にイキイキと創造性高く働ける環境とは何かを考え、部門を越えた新たなコミュニケーションが多く生まれるさまざまな仕掛けを施しました。いままでなかったアクティビティを取り入れることで、人が交わる新たな働き方を実践できる空間づくりにチャレンジしました。

2つ目の「KAI的(貝印的)」では、貝印ブランドの可視化・発信をデザインでどう表現し、それを社内外のより多くの方々に伝播していく空間づくりを意識しました。

1階~4階は社外の方も来訪されるため、貝印の歴史やアイデンティティをデザインにより強く反映。また、展示エリア、ショールームの設置、フリーアドレスの導入、ソロワークにも対応する会議室の拡充、リフレッシュエリアの設置など、オフィスが働く空間から貝印らしさを発信する空間となり、令和の働き方や企業活動にふさわしいオフィスに変革を遂げました。

■手法

貝印らしさを社内外に発信する1階と2階は、商品自体にスポットライトをあてることを第一に考え、内装は基本的には白を基調としたシンプルでニュートラルなデザインに。直線のラインや光、金物のラインを際立たせることで、貝印の実直な職人気質と革新性を表現した空間にしました。

特に、メインエントランスの土を重ね合わせてつくられた版築(はんちく)壁は、貝印のいままで積み上げてきた歴史や刃物の構成である“重ね”を表現しています。さらに、貝印が生まれた岐阜とのつながりを持たせるために、本物の「美濃の白土」を混ぜて制作しました。

貝印オフィス

美濃の白土を混ぜてつくられた版築壁

3階~5階は横の繋がりを強化して、新しい文化を醸成するフロアとしています。3階は、貝印の1万点に近い商品を一カ所に集めて、「商品を見ながら執務ができる」空間を設置。商品との物理的距離を短くし、新たな企画・提案が誘発できる仕掛けをつくりました。さまざまな大きさの棚割り室(プレゼンテーションルーム)を設置することにより、提案の幅が広がる空間にしています。

4階のマイスター推進部に研ぎ直しエリアを設置し、研ぎ作業の見える化や、外部人材への研ぎ講習などに活用できる場所を設えました。

貝印オフィス

講習などにも使われる研ぎ直しエリア

また、4階には、社員からの要望が多かったリフレッシュエリアを設置。カフェエリアやオフィスコンビニ、自販機、非日常空間のテントエリアまで、社員や人が集まる機能を集約し、コミュニケーションを育むリフレッシュ重視の仕様としています。

貝印オフィス

4階では、リラックスしながら社員の方々がつながる空間づくりを目指した

貝印オフィス

5階は、大人数の会議からソロワークまでを網羅できる会議室を拡充。商品開発による各種実験やデザインの校正確認など、多目的で使用できる「kou-bou(工房)」エリアを設置し、誰でも自由に作業ができ、さざままな社員が交わることのできる空間にしています。

貝印オフィス

5階の「kou-bou」エリア。商品開発による各種実験や、デザインの校正確認をおこなっている

■コクヨのデザイナー・武田さんとコクヨマーケティングのデザイナー・唐沢さんのコメント

社員の方々が、日々最適な場所を選んで、能動的にオフィス全体を動きまわりながら働けるように、各フロアにさまざまなアクティビティを新設したり拡張したりしました。それにより業務効率・生産性の向上や、部門を越えたコミュニケーションの促進、創造性や快適性が向上することを期待しています。

また、出社したくなる仕掛けを随所に設けるなど、パブリックエリアも充実しているので、それぞれの場を楽しんで活用いただければと思います。これらデザインのこだわりにより、社内外の方々が貝印をより深く感じていただけたらうれしいです。

所在地 東京都千代田区岩本町3-9-5
設計・施工 コクヨマーケティング株式会社
竣工日 2024年1月