Vectorworks ベクターワークス活用事例

「展示会」を舞台に、世界をかけ抜ける。エキスポインターナショナルの空間づくり(2)

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「展示会」を舞台に、世界をかけ抜ける。エキスポインターナショナルの空間づくり(2)

ビジネスの視点から、空間の主役を考える

展示会は、短期間で多くの来場者を集めるだけに、新たなビジネスが生まれる場所として期待されている。限られた期間とスペースの中で、効果的な空間を作り出していくにはどうすればいいのだろうか。中来田さんは、展示会という場の面白さについて語る。

展示会がお店と違うのは、短時間で色々なブースの会社を回ることができること。それが良さでもあるのですが、逆に考えると、じっくり腰を据えるような場所ではないんです。だからこそ、目を引くような空間づくりが必要です。

しかし、それ以上に大切なのは、展示会の主役は何なのか、という視点です。それはもちろん、商品であり、その商品を売る人ですね。ブースの色や形状、インパクトばかりを重視して、ビジネスとしての機能性が失われてしまうようなことがあってはなりません。展示会には、商品・展示を見に来て、商談する、という一連の流れがあります。この流れがスムーズに進むように、あくまでも商品や売る人のことを第一に考えながら設計を行っています。

中来田秀之さん

例えば、商品が通路からきちんと見える位置にあるか、アテンドする人が立つスペースはきちんと確保されているか、商談スペースに行くまでの道のりが複雑になっていないか、商談スペースは過ごしやすい空間になっているかなど……。もちろん、お客様の要望は優先して取り入れますが、こちらから提案を行う際には「御社の製品を活かすには、こう見せていけばもっと効果的です」と、デザイン面だけでなく、ビジネスの視点で一歩先を見るように心がけています。

また、スペースや使用できる材料、施工期間も限られていますので、その中でいかにクオリティの高い空間を生み出せるかは、私たちの腕の見せどころです。制約が多いのは難しいことですが、それが展示会という場所づくりの面白いところですね。

密なコミュニケーションが必須な海外事例

エキスポインターナショナルは、2019年の4月に開催された、デジタルやAI、各種産業の最新技術などが一同に会するドイツの「HANNOVER MESSE 2019」にて、川崎重工業株式会社の出展ブースを手がけている。

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(実際の完成写真)

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(実際の完成写真)

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(ワイヤーフレーム)

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(ワイヤーフレーム)

クライアントからの最大の要望は「川崎重工業という企業名を世界にアピールしたい」ということでした。それを受けて当社のデザイナーは「イノベーショングリッド」という先方のブランディング戦略である平行四辺形のコンセプトを、どうブースデザインに取り入れ具現化するかという点からスタートしました。その上で、デザインコンセプトとして「スタイリッシュ性」「先進性」をイメージさせるかがポイントとなりました。

クライアントが扱う分野が多岐にわたり、ブースの中にさまざまな担当部署が共存するなか、企業としての統一感を保つために明確なゾーニング分けや壁面などによる仕切りをつくらないようにしました。そのため来場者動線については何度も試行錯誤を繰り返しましたね。

海外の展示会の場合は、準備期間が1週間と長いものも多いので、鉄骨を組んでより本格的な設計が可能です。川崎重工業様のブースは、空間を存分に使用した2階建て。2階部分に商談スペースを設けました。

3Dデータを活用し、さまざまな角度からブースの見え方を確認

3Dデータを活用し、さまざまな角度からブースの見え方を確認

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(イメージ立面図)

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(イメージ立面図)

海外展示会の施工は現地の会社が担当。日本国内の施工に比べると、より的確な指示や、現地の知識が非常に重要になってくる。

海外の企業って、国内の企業ほどは気を遣ってくれないんです(笑)。「図面に描いてなくてもわかるだろう」という当たり前なことでも、向こうからすれば「図面に描いてなかったから作っていないよ」なんてことが起きてしまう可能性があるんです。なので、とにかく要望はできるだけ具体的に、正確に伝えることに注力していますね。

壁に貼るグラフィックの出力も現地企業で行いますので、グラフィックのサイズや設置場所、貼り方など図面はとにかく細かく描いてます。場合によってはスケッチを描き、よりわかりやすくなるよう指示を出しています。

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(図面)

「HANNOVER MESSE 2019」川崎重工業株式会社の出展ブース(図面)。壁のグラフィックの文字や写真の位置が詳細に描かれているのがわかる。

現地で入手できる素材についても、きちんと把握しておかなければなりません。日本で簡単に入手できる素材でも、現地では非常に高価だったりします。しかも、10cm角の柱を使ってもらう指示をしたのに、現地に20cm角の柱しかないなんてことも多いにあり得ます。「20cmの柱しかないけど、どうしますか」ときちんと確認してくれる場合もありますけど、そのまま誤ったサイズの柱で施工が進んでしまうことも……。なので、密なコミュニケーションは欠かせません。

日本企業が海外での出展を行う際は、そういったトラブルが不安の種なのだと感じています。なので、海外案件の豊富さ、現地ネットワークの連携の強さ、安心の対応力で今後も当社をアピールしていきたいですね。

それでも、海外の展示会へ出展する日本企業はまだまだ少ないのだそう。中来田さんは、海外出展を考えているお客様へ積極的に声をかけ、多くの企業をサポートしていきたいと語る。そんな提案の場でも、Vectorworksは欠かせない。

プレゼンテーション資料は、今まで別途Illustratorで作成していたんですが、Vectorworksのデータがそのまま利用できるのはとても便利です。時間短縮にもなり、ずいぶん楽になりましたね。

提案の際は、紙に印刷したものを持っていったり、PDF形式にしたものをプロジェクターで映したりすることが多いです。最近は、ウォークスルームービー(実際の空間を歩いているように見える動画)や、ブースを回転させて見せる際に、Vectorworksのアニメーションを活用するようになりました。より効果的なプレゼンテーションを行うためにも、今後はもっとアニメーションを活用していきたいです。クライアントに提案する際に「青色の場合はこう見えて、黄色の場合はこう見えます」と、その場で色を変えたりはぜひやってみたいですね(笑)。

人と人をつなぐ場として、展示会をデザインしていく

実は、かれこれ20年前くらいから「展示会はなくなるだろう」と言われていたんです。インターネットが普及して、お店や展示会に足を運ばなくても物が買える時代ですから。リアルに、インターネット上の展示会が開かれるなんてこともありましたね。でも、展示会は今でも多く開かれ、変わらぬ賑わいを見せています。展示会の良さはやっぱり「face-to-face」なところではないでしょうか。人と話して、実際に商品を見て……そういうビジネスの良さはきっと変わらずに存在し続けると思います。

それでも、展示会のカタチや商品の見せ方は変わっていくと思います。

目を引く見せ方と言えば、昔はターンテーブルに商品を乗せたりしていましたが、今はライトや映像を上手く使って、モニターやスクリーンに映し出したりするのが主流になってきました。今は透過性のスクリーンもあるので、デザインの幅もより広がっていくのではないかと感じています。

今後は、プロジェクションマッピングや、壁に映像を写して触れば反応するようなアトラクティブな見せ方も出てくるのではないかと思います。お金をかけたイベントで最初は使われ始めていき、それがだんだんとリーズナブルになっていけば、展示会でも多く使われるようになる。そういう流れはあるかもしれません。

当社も業界を盛り上げるためにも、そういった最新の技術やトレンドにもアンテナを張って、取り入れていきたいと思います。

エキスポインターナショナル 中来田秀之さん

取材・文:室井美優(Playce) 撮影:高比良美樹 編集:石田織座(JDN)

エキスポインターナショナル
https://expo.co.jp/
エーアンドエー株式会社
https://www.aanda.co.jp/