Vectorworks ベクターワークス活用事例

真ん中に遊び心を。新たなエンターテインメント体験を提供するタイトーの空間づくり(1)

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真ん中に遊び心を。新たなエンターテインメント体験を提供するタイトーの空間づくり(1)

連載シリーズ「Vectorworks活用事例」では、設計に携わる方々にとって空間をつくる上で欠かせない設計ツール「Vectorworks」をどう工夫して使っているか、お話をうかがってきた。

今回フォーカスするのは、アミューズメント施設の企画や運営を行う株式会社タイトー。最近ではプロジェクションマッピングを使ったスポーツアトラクションやコラボカフェにいたるまで、既存の活動にとらわれないさまざまな事業を展開している。

新たな取り組みに挑戦し続ける中で同社は、多くの関係者とよりスムーズにコミュニケーションを図るために、「ストアデザインマニュアル」「店舗設計指針」「3D作成マニュアル」という3つのマニュアルを今年発行したという。マニュアルを管轄する店舗開発部施設管理課の雨谷治彦さんと榎本愛子さんに、同社が力を入れるエンターテインメント施設やVectorworksの活用方法、社外の関係者を含む“オールタイトー”として目指すべき将来像などをうかがった。

かつてない遊びを創出し、「新たな驚き」と「胸を熱くする体験」を

タイトーでは創業以来、社会的現象にもなったゲーム「スペースインベーダー」をはじめとするさまざまな革新的製品やサービスを世に送り出し、楽しさだけでなく「新たな驚き」を提供し続けてきた。

雨谷治彦さん(以下、雨谷):世代を問わず、日々の生活を豊かにするためには、エンターテインメントを必要としている人も多いのではないでしょうか。だからこそ、生活の中に楽しさや驚き、感動を与えられるようなコンテンツ・サービス・空間を提供していきたい。それこそが、私たちタイトーの使命だと考えています。

また、「働き方改革」が推し進められている現代。私たちはその推進にもつながるような「遊び方改革」を起こしていきたいと思っています。1日24時間のうち、仕事や睡眠の時間を除くと、自由に使える時間は平均でおよそ6時間半だと言われています。 そこに、どれだけワクワク感や胸を熱くする体験を提供できるか。日々のモチベーションを高めるお手伝いをすることも、私たちのミッションなんです。

株式会社タイトー 雨谷治彦さん

雨谷治彦 株式会社タイトー店舗開発部施設管理課課長/一級建築士/一級建築施工管理技士/宅地建物取引士。建設業を経験後、2004年にタイトーに入社。

雨谷:私たちタイトーは、「新たな驚き」や「胸を熱くする体験」を提供することを目標に、さまざまな事業に取り組んでいます。中でも基幹となっているのは、やはり直営店であるTAITOSTATIONの運営のほか、フランチャイズ店の展開やゲーム機のレンタル事業などを行う「アミューズメント事業」です。

TAITOSTATION 溝の口店

タイトーが運営する「TAITOSTATION溝の口店」。人気のゲームやプライズはもちろん、アーケードライブバー「MEGARAGE 溝の口店」など新しい体験ができるアミューズメント空間になっている。

また、近年力を入れているのがフィジカル・エンターテインメントの分野です。プロジェクションマッピングを使ったスポーツアトラクション施設や、アニメ・ゲーム、スポーツ団体とのコラボカフェやイベントなど、既存の枠組みにとらわれない、かつてない遊びの創出や施設の展開を目指しています。

EXBAR TOKYO

タイトーが運営する「EXBAR TOKYO」。「食」と「遊」の融合させた言葉「イータテインメント」をコンセプトとしたレストラン。高級感あふれる空間での上質な食事、複数人で楽しめる体感型ゲーム、DJやジャズの生演奏など、レストランに留まらないさまざまな仕掛けで、これまでにない楽しさと驚きを提供している。

上記以外にも、アーケードゲームや家庭用ゲームなどの「ゲーム開発事業」や「マーチャンダイジング事業」、「テクニカルサポート事業」など、多種多様な事業に取り組んでいるタイトー。

それらの施設事業に欠かすことのできない店舗の設計・施工管理を行っているのが、雨谷さんと榎本さんが所属する店舗開発部施設管理課だ。

榎本愛子さん(以下、榎本):私たち施設管理課は、おもに、アミューズメントとエンターテインメントに関する店舗や施設の開発における、設計・施工管理を担当しています。店舗の設計やデザインだけでなく、法令関係の検証や、それにかかわる要件提起、さらには予算やスケジュール管理まで。お店ができるまでの物理的な部分に携わっています。

株式会社タイトー 榎本愛子

榎本愛子 株式会社タイトー店舗開発部施設管理課/一級建築士/東商認定一級カラーコーディネーター「環境色彩」。商環境設計を経験後、2018年にタイトーに入社。

雨谷:店舗戦略部門が考えたアイデアを具体化し、協力業者さまに伝え、施設に落とし込んでいく。それが私たちの役割です。社外の関係者を含む“オールタイトー”としてお客さまに新たな価値を提供していくためには、どんな施設の開設にも携わり、積極的に関係部門と連携していくべきだと考えています。

新しいエンターテインメントを実現した「MEGARAGE 溝の口店」「NOBOLT」「TAITOSTATION 府中くるる店」

直近で施設管理課が携わった事例のひとつに、2017年にオープンした「TAITOSTATION 溝の口店」に併設された「MEGARAGE 溝の口店」がある。ドリンクや軽食を楽しみながら、大型モニターでゲームのLIVE配信や動画などを楽しむことができる「アーケードライブバー」というまったく新しいエンターテインメント施設だ。

MEGARAGE溝の口店

タイトーが運営する「MEGARAGE 溝の口店」

雨谷:「MEGARAGE 溝の口店」の開設は、旗艦店だった「TAITOSTATION 溝の口店」の老朽化から建て替えるにあたり、「タイトーならではの新しい施設をつくってほしい」というビルのオーナーからの要望を受けてスタートしました。また、「タイトーの店舗は古いイメージがあるのではないか?」という社内からの声もあり、それらのイメージを払拭するべく、新たなストアデザインに挑んだ店舗でもありました。

「アーケードライブバー」という、今までになかったエンターテインメント施設を手がけたことで、世の中に「新たな驚き」を提供できたのではないかと実感しています。そしてそれは、その後の新たなチャレンジにもつながっています。

続いて、近年力を入れているフィジカル・エンターテインメントの展開として、2019年にはスポーツ・アスレチックとエンターテインメントを融合した屋内型体験施設「ノボルト」もオープンしました。

タイトーが運営する「ノボルト(NOBOLT)」。スポーツ・アスレチックとエンターテインメントを融合した国内最大級の屋内型体験施設。面積約4,000㎡、高さ約20mからなる施設内には、エンタメ性のあるデジタル技術を加えた、スポーツ・アスレチックコンテンツなど16種のアトラクションが設置され、遊び感覚で運動を楽しむことができる。

また、弊社の強みでもあるプライズ(景品)に特化した、カテゴリーキラーな店舗の展開も進んでいます。2020年8月にオープンした「TAITOSTATION 府中くるる店」では、クレーンゲームマシン設置台数のギネス認定にもチャレンジし、多くの反響を呼ぶことができました。

TAITOSTATION 府中くるる店

タイトーが運営する「TAITOSTATION 府中くるる店」。世界最多級のクレーンゲームマシンが設置された広い店内には、人気のぬいぐるみから、流行のアニメグッズ、クレーン ゲーム限定パッケージのお菓子まで、幅広いプライズ(景品)を豊富に取りそろえ、電子マネー専用のお菓子などのクレーンゲームは、1プレイ10円と、遊び心満点だ。

タイトーの空間づくりへの想いを詰め込んだ「ストアデザインマニュアル」

多くの新しい挑戦をしているからこそ、社外の関係者を含めた“オールタイトー”として目指すべき店舗の姿を共有する必要がある。そうして今回のマニュアルづくりが始まったという。

雨谷:「TAITOSTATION 溝の口店」や「MEGARAGE 溝の口店」を開設する際、店舗イメージを一新するにあたり、外部のデザイナーさまにも協力を仰ぎ、デザインのコンサルティングをお願いしました。しかし、社内の関係部署それぞれに譲れないポイントがあり、デザインに関してなかなか折り合いがつかないこともありました。

そこで、「さまざまな事業を展開し、新たなチャレンジを行っているからこそ、社外の関係者も含めた全員が同じ方向に向かって進むべきではないのか?」「何か、店舗デザインの“ベース”になるようなものがあれば、関係者全員が納得した形でスムーズに進められるようになるのではないか……?」と感じ、そしてこの施設に携わったことが「ストアデザインマニュアル」を整備する大きなきっかけになりました。

「MEGARAGE 溝の口店」内観

タイトーが運営する「MEGARAGE 溝の口店」内観

雨谷:引き続き外部のデザイナーさまにも協力していただきながらマニュアルの作成を進めていく中で、「単にデザインプランをつくるだけではなく、そのデザインを採用するにいたった背景や趣旨などを関係者の皆さまに理解していただくことこそが大事なのではないか?」という想いが生まれていきました。

そこで、榎本と、タイトーの企業理念や方針、ミッションなども盛り込んだ形で「ストアデザインマニュアル」として丁寧につくり込んでいきました。

タイトー施設管理課が発行した「ストアデザインマニュアル」「店舗設計指針」の一部

雨谷:同時に、以前から運用していました「店舗設計指針」も改訂することとし、社内で何度もレビューを重ねながら、2020年4月に初版が完成させることができました。発行にあたっては、ご協力いただきました沢山のメーカーさまやお取引先である協力業者さまなどに、「タイトーの店舗の空間づくりではこういう取り組みをしている」ということを伝える意味合いも込めてご案内しています。

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