0%SURPLUS-予備材で出来上がる家具-

2025

AtMa inc.が継続的に取り組んでいる「Reclaimed Furniture」の新しいシリーズです。

製造業や在庫管理業などの分野では、必要数量に対して数%の予備を含めた数量で発注や在庫の確保をおこなうことが一般的です。内装工事においても、欠損・数量間違い・誤納といったリスクや、現場での納まり、デザインの複雑さなどにより、施主の希望スケジュールに工事が間に合わないという最悪の事態を避けるため、「必要数量+数%」の資材発注がおこなわれています。

こうして多めに発注された資材は、リスクに備えて用意されたもののため、必ずしもすべてが使用されるわけではなく、施工後には数%の資材が余ります。これは工事を円滑に進めるために必要な措置である一方、結果として余剰在庫や「現場ゴミ」とも呼ばれるロスを生む要因にもなっています。

また、工事完了後の不具合に備えて、一定期間・一定数の資材を工場で保管するケースもありますが、保管期限を過ぎるとそれらは処分されてしまいます。これはタイルや大理石に限らず、カーペット、クロス、木材など多くの建材にも共通して見られる現象であり、施工精度が向上した現在でも、ほとんどの現場で発生しています。

そこで私たちは、自ら設計を手がけたプロジェクトにおいて、施主や施工会社の理解と協力を得ながら、施工後に残った資材を引き取り、家具を製作することに取り組みました。内装に携わる者として、現場ゴミを減らす努力はもちろん大切ですが、それらを活用するという発想もまた、課題解決の一つの道だと考えています。

「0%SURPLUS」は、現場や工場でカット加工された際に残った資材や、割れてしまった資材などの偶発的な形状を活かし、最小限のステンレスパーツによって連結することで、新たな機能を持った家具へと再構成したプロダクトです。

AtMa inc.(クリエイティブユニット)

AtMa inc.(クリエイティブユニット)

鈴⽊良と⼩⼭あゆみにより2013年に設⽴されたクリエイティブユニット。ファッションショップやレストラン、ウィンドウディスプレイなどの空間のデザイン、ホテルやアパートメントのディレクション、プロダクトデザイン、インスタレーションなどのクライアントワークに加え、近年では社会課題などを取り上げた⾃主制作に取り組み、また⾃⾝の作品やアーティストとのコラボレーションを⾏えるスペースの運営と3つの軸を持ち、活動の幅を広げている。

FRAME AWARDS (Emerging Designer of the Year2020)、Design Anthology Awards、PARIS DESIGN AWARDS、KYOTO GLOBAL DESIGN AWARDSなど受賞。武蔵野美術大学空間デザイン学部非常勤講師。

https://atma-inc.com/project/
https://www.instagram.com/atma_inc/?hl=ja

2025/7/9 11:45