都市のナマハゲ – Namahage in Tokyo

2017 / ISIDオープンイノベーションラボ

「都市のナマハゲ」は、秋田県男鹿市で200年以上伝承された重要無形民俗文化財「ナマハゲ行事」が持っている機能を再解釈し、現代の都市に移植する試みである。元来のナマハゲ行事について入念にリサーチし、一見非合理的な古い習慣に潜んでいる合理性を発見し、相互監視による集落の維持、子供から大人への通過儀礼、家族の絆の強化といったナマハゲの持つ機能を東京の街へ実装することを思考実験した。

都市部に生息し、秋葉原、原宿、巣鴨をはじめとした各地域に適応進化した “都市のナマハゲ”は、ソーシャルメディアによる相互監視や、街中に張り巡らされた監視網により蓄積されたデータベースをもとに各都市の「悪い子」(=しつけの必要な大人) を特定。大晦日に現れ、センシング技術とVR技術を駆使したマインドハックによる “しつけ”を施し、都市の人々に成長・幸せ・祝福をもたらすという。

男鹿のナマハゲ行事においてナマハゲの面は集落ごとの特産品で作られるのが通例のため、都市のナマハゲも秋葉原の「都市の幸」で作られた。ドローン、VRゴーグル、ゲーミングヘッドフォン、プラモデル、電子基板…といった秋葉原に流通する素材で面が構成されている。

Media Art Directed by ICHIHARA, Etsuko
Original Story by ASO, Kamo
Directed & Edited by MATSU, Hiroaki(TYO Inc.)
Main Theme Song:The Putins「NAMAHAGE LAND」
Namahage of Akihabara Mask Designer:IKEUCHI, Hiroto
Namahage of Akihabara Costume Designer:SUZUKI, Junya(chloma)
VFX Creative Director:NAKAMURA, Keiichi(flapper3 Inc.)
Visual Effects Designer:YOKOYAMA, Naoto(flapper3 Inc.)
Production: MAZRI Inc.
Produced by ISID / INNOLAB

市原えつこ(メディアアーティスト、妄想インベンター)

市原えつこ(メディアアーティスト、妄想インベンター)

1988年愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。Yahoo! JAPANでデザイナーとして勤務後、2016年に独立。「デジタル・シャーマニズム」をテーマに、日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と、日本文化に対する独特のデザインから、国内外から招聘され世界中の多様なメディアに取り上げられている。おもな受賞歴には、第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞、アルスエレクトロニカ賞Interactive Art+部門栄誉賞、EU(ヨーロッパ連合)より科学、社会、芸術の優れた融合に贈られる「STARTS PRIZE」ノミネート、ほか多数。

http://etsuko-ichihara.com/

2020/3/4 11:25