第226回 川合辰弥 (工業アートクリエイター)

[桐山登士樹の推薦文]

世界最大の消費財見本市で知られる「Ambiente(アンビエンテ)」のDENSANブースで声をかけられた。昨年の2月に放映された、NHK「にっぽんまんなかブランド」に私が生出演した際、リンゴの皮を剝くのに使用したナイフ(Ceramic Jewel Knife “Minova”)のデザイナーだという。その人は川合辰弥さん、自らを工業アートクリエイターだと名乗る。同じガレリアに展示がある「GERMAN DESIGN AWARD」で、カーボン製無水調理鍋「ANAORI CARBON POT “OVAL”」が受賞したというので一緒に会場へ伺った。残念ながら映像展示のみだったので帰国後、日本橋の木屋に実物を確認しに行った。ずっしりと重く存在感のある鍋。フォルム、カラー、そして機能の一体となった意欲作だ。そして今回送られた資料を見ると、世界の名だたるデザイン賞を受賞している。デザイン界に彗星のように現れた工学系デザイナー。実に頼もしく、デザイン界に一石を投じてくれそうだ。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹(デザインディレクター)

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

川合辰弥(工業アートクリエイター)

川合辰弥(工業アートクリエイター)

1977年熊本県生まれ。中部大学 工学部機械工学科卒業。自動車の開発技術者を経て、2010年に「Carozzeria Kawai Corp.」を創業。工業デザインとアートの中間に位置する製品を創る「工業アートクリエイター」として、キッチン&テーブルウェア・ジュエリー・インテリア・電化製品・建築建材などで、カーボンとセラミック素材を主体とした製品を開発。ブランド・ビジネスモデルの構築までを総合的にプロデュース。2011年よりフランクフルト・ボローニャ・パリ・上海・東京などで作品を発表。2016年グッドデザイン賞・The Wonder 500、2017年iF DESIGN AWARD(ドイツ)・red dot award(ドイツ)・JIDAデザインミュージアムセレクションVol.19・COOL JAPAN AWARD、2018年GERMAN DESIGN AWARD(ドイツ)・iF DESIGN AWARDを受賞。2018年穴織カーボン株式会社の外部取締役CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)に就任。

https://www.ccc-japan.com/