Innocent

2022

直感に従い、モノを積んでいく感性や想像力を引き出すためのツール。45度カットを貴重としたブロックはさまざまな角度や形に積んでいくことができる。またマスキングテープ用い、塊をつくることで最低限の構造が発生し、造形に幅を与えてくれる。

目的や意味などに目もくれず、目の前のブロックに向き合う。「何を」つくっているかなんて野暮なことは考えず、組み合わせの自由と不自由さに物理法則を感じ、木の匂いと手触りに森を見る。僕は家具が好きだから手を動かすと自然と家具ができていた。ロケットやビルにでも変容し得る積み木の創造性は、少ないモチベーションに対する複雑さの現れである。

ものづくりの純粋性と快楽性を河原や山頂に積まれた石に感じるように、人には内在的に物質と行為の間に満たされている何かへの感覚がある。遊びのような非生産的な行為に存在する「それ」は、独特なリズムや雰囲気を醸し出し、生産されたモノには残影として在り続ける。染み出した無垢さや無意識は二次的な生産の呼び水として思考を伝達し、不確かな感触の余韻を響かせる。形なき形の界面を撫でながら内在感覚との会話に浸る。

太田琢人(デザイナー/アーティスト)

太田琢人(デザイナー/アーティスト)

1993年フランス生まれ。2017年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業。2022年東京藝術大学美術研究科デザイン専攻修士課程卒業。2019~2025年武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科の助手として従事したのち独立。物と人間のコミュニケーションについて興味を持ち、日常の観察の中で新たな視座の発見を作品へ変換する。特定の分野に固執せず、プロセスや考え方の流動性と多元的思考を大切にしている。主な展示に「logx」(SKWAT-PARK-,東京,2025)「結晶化したエアークオーツの聲」(contrast,東京,2025)「Thinking Piece」(Dropcity、イタリア、2023)、「藝大アーツイン丸の内 2022」(丸ビル、東京)など。

https://www.instagram.com/ohtatakuto/

2025/9/4 15:35