魚津埋没林博物館 KININAL

2018 / 富山県魚津市

富山県魚津市にある、魚津埋没林博物館の増築・改修計画である。1955年に魚津市立博物館として開館し、その後1992年に現在の博物館が竣工した。今回の計画は、気軽に人々が訪れる博物館をめざして、無料エリアを拡大することが魚津市の大きな目的だった。

エントランスのある管理棟は1スパン分増築してスイーツのカフェと休憩スペースを設け、展示スペースのあるテーマ館には木育のためのキッズスペースと授乳室、そして海が見えるデッキスペースを設けることが要件だった。

プロポーザル時の提案で、池に対してウッドデッキを増設し、それが内外をガラス越しに越境し連続させることで、より広がりのあるエントランスの休憩スペースとなるような計画とした。県産材の木の羽目板を腰壁に使い、既存のラーメンフレームの柱梁と壁をライトグレーに塗装し、明るくニュートラルで木の素材が浮き立つ関係性を構築した。

展示のコンテンツである埋没林は、藻の繁殖を抑えるために明るく展示することができないため、全体としてもやや暗い雰囲気だった。エントランスを明るくし、スイーツという強力なコンテンツを支えるためのやわらかな空間の質によって、若い人々も含めた多世代が市外県外からも集う博物館に再生することを目指した。

Architect:NOSIGNER(Eisuke Tachikawa) + Aki Hamada Architects (Aki Hamada, Musashi Makiyama)
Construction:Sekiguchigumi
Photo:Noriyuki Ikeda

AHA 浜田晶則建築設計事務所(建築家・teamLab Architectsパートナー)

AHA 浜田晶則建築設計事務所(建築家・teamLab Architectsパートナー)

浜田晶則

1984年富山県生まれ。2012年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。2012年Alex Knezoとstudio_01設立。同年teamLabにアーキテクトとして参加。2014年AHA 浜田晶則建築設計事務所設立。同年よりteamLab Architectsパートナー。2014年-2016年日本大学非常勤講師。2020年-日本女子大学非常勤講師、明治大学兼任講師。コンピュテーショナルデザインを用いた設計手法で建築とデジタルアートの設計を行い、人と自然が持続的に共生する社会構築を目指している。

おもな作品に「綾瀬の基板工場(2017)」、「パンとエスプレッソと自由形(2018)」、「魚津埋没林博物館KININAL(2018)」など。グッドデザイン賞2019、Iconic Award 2019, Best of Best、the 2A Continental Architectural Awards 2017, Second Placeなど国内外で受賞。

http://aki-hamada.com/

2020/10/14 15:55