狭山の森礼拝堂

2013 / 公益財団法人 墓園普及会

木々に包まれ、森へ祈る礼拝堂である。敷地の墓域側に植樹し、樹木と一体になった建築を構想した。枝をかわすために外壁の上端を内側に倒した結果、2本の梁を立て掛け合う扠首(さす)構造が全方位的に展開する、現代的な合掌造が生まれた。床はわずかに祭壇側の森へと傾斜しており、石床の目地は森の奥の消失点に向けて放射状に伸びている。人は無意識のうちに、深遠なる森の彼方に引き寄せられる。祈りを捧げる人びとの手の中では、指の1本1本が合わさり、あたたかで小さな空間が生まれている。この建築は、その小さな祈りの空間をそのまま取り出したような形をしている。人とともに、建築も祈るのである。

狭山の森礼拝堂(建築家)

中村拓志(建築家)

1974年東京生まれ。神奈川県鎌倉市、石川県金沢市で少年時代を過ごす。1999年明治大学大学院理工学研究科博士前期課程修了。同年隈研吾建築都市設計事務所入所。2002年にNAP建築設計事務所を設立し、現在に至る。建築設計をコミュニケーションデザインと考え、人が自然や建築と関わり、愛着を感じることをモットーに設計している。