発見に工夫をプラス、日常生活を彩るアップサイクルブランド「mikketa(ミッケタ)」

発見に工夫をプラス、日常生活を彩るアップサイクルブランド「mikketa(ミッケタ)」

「mikketa(ミッケタ)」という、ちょっぴり変わった名前のアップサイクルブランドが岐阜から誕生した。そのデビューイベントとして、代官山蔦屋書店で期間限定のポップアップストアをオープンしている。「mikketa」は1887年創業の「三星毛糸」と、建築設計事務所「TAB」による共同プロジェクトで、生地をつくる工程でどうしても発生してしまう余り糸を使って、何か新しい取り組みができないか?ということからスタートした。

「mikketa」のブランド名の由来は、「三星毛糸」と「TAB」の両社の名前を組み合わせたものでもあるが、製造過程で見過ごされるものをmikke(発見)して、デザインを+α(工夫)するという思いを込めたものだ。そうした思いをデザイン事務所THROUGHがうまく具現化。隠れたものの発見にアイデアを加えるようなロゴデザインが生まれた。

mikke(発見)+α(工夫)。ロゴデザインはTHROUGH

mikke(発見)+α(工夫)。ロゴデザインはTHROUGH

約1年間、毎週ミーティングを重ねて、何度も試作をつくって完成したアイテム数は22種類。色糸のカラフルな風合いを活かしたランプシェードやスツール、和紙を使ったレターセットや折り紙など、糸巻きの芯を使ったペンスタンドなど、日々の暮らしに彩りを加えるようなアイテムがそろった。廃棄してしまうのはもったいないからリサイクルするというよりは、新しい価値が提供できるようなプロダクトを目指したという。

余り糸だけでも独特の美しさがある

余り糸だけでも独特の美しさがある

商品の開発はTABが中心となって進められた。余り糸をプロダクトにするにはどうしたら良いか、とりあえず手を動かしながら考えたという。ふだんは建築を主な業務としているTABだが、つくる楽しさやDIY感覚を重視しているだけあって、このプロジェクトは取り組みがいのあることだったようだ。透明度の高いアクリルは余り糸の持つ鮮やかさが活かされ、和紙ではすき込まれた余り糸がプリントでは出せない独特の質感を生んだ。組み合わせる素材によっても表情が変わるが、ウールは柔らかい毛羽立ちに味わいがあり、コットンは線的なニュアンスを生んでいると感じた。

コットンの余り糸がアクリルに混ぜ込まれたランプシェード

コットンの余り糸がアクリルに混ぜ込まれたランプシェード

余り糸はランダムに混ぜられているのでアクリルボードの表情はすべて異なる

余り糸はランダムに混ぜられているのでアクリルボードの表情はすべて異なる

通常、和紙に異物である余り糸をすき込むことは、なかなか引き受けてはもらえないらしい。「糸入り和紙」を制作した丸重製紙をはじめ、「mikketa」に関わった企業は技術に自信を持っているからこそ、新しいことに積極的にチャレンジできるのだという。岐阜は水源が豊富な地域のため製紙や染色などの技術のレベルがとても高い。「mikketa」は、この地域だからこそできる新しい世代による取り組みのひとつの形なのだ。

商品開発までのプロセスがパネルでわかりやすく説明される

商品開発までのプロセスがパネルでわかりやすく説明される

触れたときのテクスチャー感も特徴のひとつ

触れたときのテクスチャー感も特徴のひとつ

今回のポップアップショップの特別企画として、これまでmikketaに携わってきたメンバー13名による選書コーナーも設けられた。「顔の見えるブランドにしたい」という想いから始まったこの企画、それぞれの個性や考え方が一冊の本に現れている。また、自分の好みのアクリル天板を選び、どんな使い方をするかイメージして脚の長さを選ぶ、オリジナルミニスツールをつくれるワークショップも開催される。

左から、伊佐友美子氏、岩田真吾氏(三星毛糸)、山下健氏、横山将基氏(TAB)

左から、伊佐友美子氏、岩田真吾氏(三星毛糸)、山下健氏、横山将基氏(TAB)

メンバーによる選書コーナーも展開。各人の個性が見えてくる

メンバーによる選書コーナーも展開。各人の個性が見えてくる

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