unravel

倉庫のスケール感を活かし、用途に応じて空間を再構成できる美容院

かつて水運の拠点で、木場から運ばれる木材を保管する倉庫が数多く建ち並んでいた東京・清澄白河。そうした木材倉庫のひとつを改修し、美容院「unravel」が2026年3月にオープンしました。

設計を手がけたATELIER WRITEの坂本拓也さんに、改修におけるコンセプトや特徴などについてうかがいました。

■背景

清澄白河の木材倉庫を、美容院へ改修する計画。従来の美容院の形式にとらわれず、独自の体験価値を提供する場所をつくりたいと施主の永江さんからご相談をいただいた。日々のサロンワークに加え、同業者に向けたセミナーや撮影、地域のお店のポップアップなどを行える空間が求められた。

■コンセプト

建物の大きなスケールを活かしながら、コンセントを組み込んだ大型の鏡と棚を天井に設置したレールから吊り、用途に合わせて空間を再構成できるようにした。

それらは中央に引き出すことで美容院として中心的な構成を作り出し、より広い空間が必要な際には壁際などへ移動させることができる。

既存建物の構造には手を加えずそのまま残し、造作は最小限に留めている。工業製品のスチールラックをシャンプーラックやレセプションラックなどに転用することで、建物躯体に馴染ませた。吊り鏡や棚には電気亜鉛メッキを施し、中立的な存在感を保ちながらも空間の中で際立たせている。

ファサードは既存のシャッター開口全面にガラスのスチールサッシをはめ込み、内部の活動が通りから見えるようにした。空間が変化し、多様な活動を受け入れていくことで、従来の美容院を超えて、街との関係が複層的に育まれていくことを期待している。

■課題となった点、手法、特徴

想定される使われ方と照明配置計画をもとに、鏡や棚の停止位置をあらかじめ設定し、各位置で鏡に電源を供給できるようレール上にコンセントボックスを配置した。美容院として必要な機能を分析し再編することで、可変性を見た目の仕掛けに留めず、実際に運用可能な空間システムとして設計している。

所在地 東京都江東区平野2-3-35
設計 坂本拓也/ATELIER WRITE
マネジメント 植木宣博/PLANT
施工 樋口青彦・大島伸悟/TANK
サイン 山口日和
構造 鉄骨造
計画面積 175㎡
竣工日(開業日) 2026年3月5日
撮影 長谷川健太