timelessness「路」

2023

能動的であっても受動的であっても、何かしら進むべき先があるならば、そこへ向かう途中は路となる。理想への路、諦めへの路、納得への路。その路というものは、物理的なものだけではなく、精神的な人生の旅路なのかもしれない。

穏やかな時もあれば、路が狭く激流のような時もあるでしょう。降る時もあれば、昇る時もあるでしょう。

そして、その路に終わりがあるのかさえ分からない。人の数だけ路があり、思想の数だけ路があり、その流れや形は多様なのだと思う。

それはまるで、山に降り注ぐ雨のようで、大地を下る川のようで、広く穏やかな海のようで、雲に向かう蒸気のようで、巡り廻る水の流れのように感じるのだ。

本作では、このイメージを漆作家の高橋悠眞さんとの共創にて、変わり塗り技法を用いて表現した。seccaが制作した木地に対し、高橋さんが12層の色漆を塗り重ね、研ぎ出すことで深みのある青のグラデーションが生まれ、水の流れを想起させる「路」を表している。

上町達也(代表取締役・デザイナー)

上町達也(代表取締役・デザイナー)

1983年岐阜県可児市生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、株式会社ニコンに入社し、おもに新企画製品の企画とデザインを担当する。資本主義経済によって加速した価値の異常な消費サイクルに疑問を抱き、手にした人の心を動かす持続的な価値を目指したものづくりをカタチにするため、2013年食とものづくりの街金沢にて「secca inc.」を設立。代表取締役をつとめる。

seccaでは独自の視点でこれからの問いを見定め、それらに対応した新たなモノと体験を生み出すことによって新価値の造形を目指している。現在、secca独自の経営を推進しながら、各作品のコンセプトメイキングをおもに担当する。金沢美術工芸大学非常勤講師/上海同済大学非常勤講師ほか。

https://secca.co.jp/

2023/9/20 9:10