結び

2021

「ハイアットセントリック金沢」のエントランスオブジェ「結び」をseccaが担当した。

日本の「結び」は「物を結ぶ」という以外に、人と人、心と心の関係をも「結び」として表され、特別な意味が付加されてきた。ご縁を表す「むすび」は、古くは「産霊(むすひ)」と呼ばれ、すべての物を生み出すご神威のことを表していた。

このオブジェのコンセプトは、水引に付加されているこのような意味を現代の手法と素材を用いて再解釈している。金沢にゆかりの深い梅花をモチーフとし、加賀梅鉢紋にも特徴的な5つの花弁を360度あらゆる視点で鑑賞できるよう立体的な花詰意匠として盛り込んだ。

割り切れない数字は、今後のご縁がずっと続くようにとの思いも込められている。赤色に着色したアルミ製の丸棒と3Dプリントの樹脂パーツにより構成されており、これらはすべてオリジナルで制作をしてるのも特徴の一つ。人や技術が交流することで文化を育んできた創造都市金沢の玄関口に位置するこのホテルに、人の出会いが結ばれ、新しい金沢をつくっていく様を表現した。

上町達也(代表取締役・デザイナー)

上町達也(代表取締役・デザイナー)

1983年岐阜県可児市生まれ。金沢美術工芸大学卒業後、株式会社ニコンに入社し、おもに新企画製品の企画とデザインを担当する。資本主義経済によって加速した価値の異常な消費サイクルに疑問を抱き、手にした人の心を動かす持続的な価値を目指したものづくりをカタチにするため、2013年食とものづくりの街金沢にて「secca inc.」を設立。代表取締役をつとめる。

seccaでは独自の視点でこれからの問いを見定め、それらに対応した新たなモノと体験を生み出すことによって新価値の造形を目指している。現在、secca独自の経営を推進しながら、各作品のコンセプトメイキングをおもに担当する。金沢美術工芸大学非常勤講師/上海同済大学非常勤講師ほか。

https://secca.co.jp/

2023/9/20 9:10