第265回 林琢真 (アートディレクター)

[桐山登士樹の推薦文]

一本の線から始まる物語、表現者が想いを載せる線には想像もつかない思考が注入される。アートディレクター林琢真さんの表現する線からこんなことを考えた。偶然、恵比寿のギャラリーで遠藤豊さんから紹介していただき、名刺を交わした。自らのインスタレーションだけでなく、塩田千春さんの展覧会「魂がふるえる」の図録ほか、よく知る建築家などの図録のデザインを担っていることを知って、より興味が沸いた。

林さんの紹介文を書きながら、自らの表現と他者の仕事との間を上手く往来できている方だと思った。決して表現者としての妥協はなく、寄り深く入り込み捉える、その思考回路が仕事にも生かされる。この行ったり来たり(往来)のデザイナーだと自分なりに整理してみた。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

林琢真(アートディレクター)

林琢真(アートディレクター)

1975年札幌生まれ。中島デザインを経て、林琢真デザイン事務所設立。美術関連のグラフィックや出版、広告、ファッション、音楽など幅広い分野のデザインワークを手がける。おもな作品に「ALBERTO GIACOMETTI」(国立新美術館)、「田根剛: Archaeology of the Future」(TOTOギャラリー・間)、「The Sense of Wonder」(ヴァンジ庭園美術館)、「井田幸昌: Crystallization」(美術出版社)など。おもな個展に「FIGURATIVE AND ABSTRACT」(Lugtje、nadoya ebisu / Fuyu Gallery)。おもな受賞にTOKYO ADC入選、造本装幀コンクール受賞、全国カタログ展受賞など。

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