第250回 市原えつこ (メディアアーティスト、妄想インベンター)

[桐山登士樹の推薦文]

現代でなくてはあらわれない、このクリエイターの存在がとても気になっていました。巫女姿で「デジタル・シャーマニズム」をテーマにその深層を探り、テクノロジーを用いて具現化していく、市原えつこさん。昨年、千葉県松戸市の国際フェスティバル「科学と芸術の丘」でトークを聞き、その後、展示作品を拝見して部分的に断線していた理解の回線をようやく繋ぐことができました。こうした新たな表現、そしてAIが可能とする世界と、またその限界、同時にさまざまなクリエイターとのコラボレーションによって進む研究開発。その象徴としての巫女姿には、なるほど納得させられました。次の展開(視点とプロセス)がとても気になる一人です。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

市原えつこ(メディアアーティスト、妄想インベンター)

市原えつこ(メディアアーティスト、妄想インベンター)

1988年愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。Yahoo! JAPANでデザイナーとして勤務後、2016年に独立。「デジタル・シャーマニズム」をテーマに、日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性と、日本文化に対する独特のデザインから、国内外から招聘され世界中の多様なメディアに取り上げられている。おもな受賞歴には、第20回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞、アルスエレクトロニカ賞Interactive Art+部門栄誉賞、EU(ヨーロッパ連合)より科学、社会、芸術の優れた融合に贈られる「STARTS PRIZE」ノミネート、ほか多数。

http://etsuko-ichihara.com/