第223回 坂下和長 (プロダクトデザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

富山県美術館の開館企画展Part2「素材と対話するアートとデザイン」展の第二章のエポックメイキングな素材とデザインの一つに、今回紹介するデザイナー坂下和長さんの「shallows」を選出した。この作品は、花器と水との境界を曖昧にしたシズル感溢れる美しいデザインである。素材特性をさらなる次元へ引き上げた作品と言えよう。

12年前に福岡のデザインアワードの審査をお受けした。その際に坂下さんとお会いしていることがわかった。その時に、福岡産業デザイン賞優秀賞をとった作品「ROW」は、和洋の要素をモダンにまとめた完成度の高い作品で印象深かった。それぞれがそれぞれの土俵で活動し、こうした展覧会のキュレーション最中に発見し、その成長を確認できる。何か心温まる機会が持てたことが嬉しい。もちろん坂下さんには、さらなる成長を期待してエールを送りたい。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

坂下和長(プロダクトデザイナー)

坂下和長(プロダクトデザイナー)

1976年福岡生まれ。1999年西南学院大学商学部卒業後、ザ・コンランショップ、北欧アンティークショップ「NEST」を経て、2006年「CRITIBA Design+Direction(クリチーバ)」として活動開始。素材の特性と異素材との関係性、そのモノの持つ背景やストーリーをふまえ、シンプルだが奥行きのあるデザインを目指す。福岡産業デザイン賞優秀賞 (2005)、グッドデザイン賞(2006)、D&AD グローバルアワード最終セレクション進出(2007/UK)、RED DOT AWARD(2015/ドイツ)、A’DESIGN AWARD 金賞および銀賞(2017/イタリア)、A’DESIGN AWARD デザイナーオブザイヤーノミネート(2017/イタリア)。

www.critiba.com