時の流れる家

2014 / 個人住宅

東京都郊外の多世帯住宅。家族や地域と共に価値を積み重ねる、大らかで豊かな住宅のあり方を目指した。閉鎖的な寝室群を対角線上に配置することで、「屋内」「半屋内」「半屋外」「屋外」の4種類の場所を生み出し、季節や時間によって領域と色付きが変化する住まいを構成した。半屋内空間で接続した鍵付きの寝室群によって、3世帯から1世帯住居まで多様な住まい方に対応できる。一方、屋外には金属左官と鋼製メッシュを採用し、雨、風、陽射しといった土地の気候を記録して風化する、外観をつくりあげた。

この住宅は、竣工直後の真新しさではなく、時の流れと共に価値を重ねる建築である。

(photo:Jeremie Souteyrat)

菅原大輔(建築家)

菅原大輔(建築家)

1977年東京都生まれ。日本大学理工学部建築学科卒業、早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。シーラカンス・アンド・アソシエイツ、Jakob+Macfarlane、Shigeru Ban architect Europeを経て、2008年にSUGAWARADAISUKEを設立。地域計画や建築、商業空間やブランディングだけでなく、展覧会の企画や被災地支援活動まで、建築的思考を背景に多岐にわたるデザインを手がける。分野を横断してモノ・コトを扱い、場所と時間の価値を編集することで、新しい時代に求められる「物語る風景」のデザインを目指している。日本建築学会作品選集新人賞、DFA Award 銀賞・銅賞、中部建築賞、JCDデザインアワード2年連続銀賞、キッズデザイン賞など、国内外の受賞歴多数。現在、早稲田大学、日本大学、東洋大学非常勤講師。

SUGAWARADAISUKE
http://sugawaradaisuke.com/