KARMI

2010 / 山中漆器

木地加工を得意とする山中漆器で、長らく注目されていなかった「千筋(一本ずつ等間隔で刻まれた細かな溝)」と呼ばれる装飾技法を産地の特徴として大きく取り上げたデザインである。棗や円筒形のものしか存在しなかった茶筒に、近年のフレーバーティの普及にともなう茶種の増加に対し、14種の形と3種の仕上げで茶の区別を行う認知的機能をデザインした。

緻密な千筋加工を全面に施すことで、装飾としてではなく、機能や触覚、質感といった新たな価値を生み出している。艶を出すことが良しとされていた漆塗りに対し、艶を消して渋みを感じさせる新たな塗を産地とともに開発した。この製品により、山中漆器はその挽物技術の高さで注目されるようになった。

安島諭 + 本田智子(デザイナー)

安島諭 + 本田智子(デザイナー)

安島諭
金沢美術工芸大学卒。北岡デザイン事務所、ナカミチを経て1998年THINGS設立。ハイエンドオーディオ、インテリアデザイン、インタラクティブコンテンツ、モーショングラフィックス、企業との先行開発の経験を持つ。社会やビジネスの視点からデザイン戦略・デザインマネジメントを行ってきた。現在、金沢美術工芸大学製品デザイン専攻教授。

本田智子
武蔵野美術大学卒。デザインスタジオTAD、エムアンドエムデザイン事務所を経て1998年THINGS設立。景観設計、インテリア、プロダクトデザインの経験を持つ。近年は製品企画から販売にいたるまでの総合的なデザインプロデュースを行ってきた。現在は環境と農業におけるデザインに取り組んでいる。

おもな受賞
2012 German Design Award(独)Silver
2011 Design Plus賞(独)
2010 Good Design賞 中小企業庁長官賞
2010 MM総研大賞 デジタルサイネージ分野 最優秀賞
2000 海南国際デザインコンペティション 金賞

THINGS
http://www.thingsstyle.com/ts/topics.html

2016/10/5 10:30