第176回 森永邦彦 (デザイナー)

[桐山登士樹の推薦文]

森永邦彦さんの展覧会を金沢21世紀美術館で見た。二度見た。空間いっぱいに折り重なる5000着の白い服、真正面の壁には清楚な白のワンピースが掛けられている。徐々にライトが当てられ始め、数分後には充分な光量が白のワンピースに照射される。この数分の時間表現に森永さんのメッセージを探った。モノを取り巻く世界、混沌とした世界の中で存在を失わないのはシンプルなカタチを通した美である。これは、私の解釈である。しかし、この表現者は定義とは何なのかを問いつめている。だからファッションというデザインを越え、力=メッセージが宿る。このデザイナーの表現には注目しないわけにはいかない。

デザインディレクター桐山登士樹

桐山登士樹

デザインディレクター

デザインの可能性を探っていきたい。そんなことを考えて30年。さまざまなプロジェクトを通じて、デザインの力をアピールしています。

森永邦彦(デザイナー)

森永邦彦(デザイナー)

1980年、東京都生まれ。早稲田大学、バンタンデザイン研究所卒業。ブランド名「アンリアレイジ」はA REAL(日常)、UN REAL(非日常)、AGE(時代)、を組み合わせた造語。2003年から活動を開始。「神は細部に宿る」という信念のもと作られた色鮮やかで細かいパッチワークや、人間の身体にとらわれない独創的なかたちの洋服が特徴。2005年、ニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞。 2006年より東京コレクションに参加。2011年、第29回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。2012年、個展「アンリアレイジ展 A REAL UN REAL AGE」(パルコミュージアム・東京)を開催。2013年、「フィロソフィカル・ファッション2 : A COLOR UN COLOR」(金沢21世紀美術館・石川)を開催。
アンリアレイジ 公式サイト:http://www.anrealage.com/