平川祐樹 “Rêve d’artiste La Magie à travers les âges”

Rêve d’artiste La Magie à travers les âges 2019 Rêve d’artiste La Magie à travers les âges 2019

平川祐樹は1983年愛知県生まれ。場所や事物に宿る「時間」や「記憶」をテーマに、映像を主軸とした作品を制作している。近年取り組んでいる失われた映画を扱った「Lost Films」シリーズは国内外で高く評価され、世界の数々の映画祭にて招待上映されている。

本展では、2017年より制作している「Lost Films」シリーズの第5作となる映像作品「Rêve d’artiste La Magie à travers les âges(芸術家の夢 時代を越えた魔術)」が発表される。壁に投影された黒い背景に、古いフランス映画のタイトルと製作年が淡々と現れては消え、タイトルを朗読する女性の声が会場に響く。一見するとタイトルの羅列のように見えるが、それぞれのタイトルにゆるやかな繋がりがあり、詩的な意味やリズムが垣間見える。

同作を構成する映画タイトルの8割はジョルジュ・メリエス監督の作品。メリエスはいわゆる「トリック撮影」の創始者で、「出現」や「消失」を多用し、夢や幻想、魔術などを扱ったファンタジー作品を多く残してきた。一時は大きな成功を収めたメリエスだが、妻の死、経済的な破綻、そして第一次世界大戦の開戦などによって映画製作を継続できなくなり、次第に表舞台から姿を消していく。戦時中、メリエスの映画フィルムの多くは陸軍に没収され、セルロイドと銀の再利用に回された。1923年、自らのスタジオと劇場を失ったメリエスは自暴自棄になり、手元に残っていたネガフィルムに自ら火を放った。

作品タイトル「芸術家の夢 時代を越えた魔術」とは、平川が失われた映画作品リストの中に見出した、メリエスからのメッセージなのかもしれない。メリエス自身の手によって映画フィルムに放たれた火は、「消失」の魔術となり、再びここに時代を越えて「出現」する日を待っていた。それはメリエスの「夢」であり、また平川自身の「夢」でもあるのだ。

開催期間 2019/06/05(水)~2019/08/10(土)
※イベント会期は終了しました
時間 11:00~19:00
休館日 日曜日、月曜日、祝日
入場料 無料
参加アーティスト 平川祐樹
会場
  • アンドーギャラリー
  • 東京都江東区平野3-3-6
会場URL http://www.andogallery.co.jp
詳細URL http://www.andogallery.co.jp/jp/gallery/exhibition/current