この秋行きたい!2020年ニューオープンの施設5選

この秋行きたい!2020年ニューオープンの施設5選

ヨックモックミュージアム

洋菓子ブランドを展開するヨックモックグループが収集してきた、ピカソのセラミック作品が展示される「ヨックモックミュージアム」が2020年10月25日に東京・南青山にオープンしました。同館では、ヨックモックの創業者である藤縄則一さんの「菓子は創造するもの」という想いを受け継ぎ、ヨックモックグループが30年以上かけて500点以上収集してきたという、世界有数のピカソのセラミック(陶器)作品を数多く包括したコレクションを、さまざまな企画展を通して観賞できます。

ヨックモックミュージアム 外観

ヨックモックミュージアム 外観

ヨックモックミュージアム 内観

ヨックモックミュージアム 内観

建築を担当したのは、栗田祥弘建築都市研究所。屋根はピカソがセラミック制作をしていたコート・ダジュールの瓦をオマージュし、床は陶芸窯で使われている耐熱レンガをイメージしているそうです。

ロゴデザインとサイン計画は、廣村デザイン事務所が担当。セラミックのあたたかみや柔らかい表情、幅広い層へ向けた多様なプログラムもあることから、全体的に丸みのある親しみやすいフォルムと、主となるコレクションのセラミックをシンボルモチーフとしてロゴデザインが構成されています。サインシステムの素材にもセラミックが使われているそう。

ヨックモックミュージアム ロゴ

廣村デザイン事務所が手がけたグラフィックデザイン

開館記念展となるのは、2021年9月26日まで開催される「ピカソ:コート・ダジュールの生活」展。ピカソ研究者の松井裕美さんをゲスト・キュレーターに迎え、ピカソのセラミック作品を中心とした展覧会が行われます。知られざるピカソの陶器作品の世界観を紹介するほか、陶器シリーズが生まれた歴史的背景などを知ることができます。

また、今後はアートセラピーを応用したアートセッションや、企画展示に合わせた学芸員の解説、若手アーティストや研究者などによるトークセッションなどのイベントも開催される予定です。

ヨックモックミュージアム開館記念展「ピカソ:コート・ダジュールの生活」

ヨックモックミュージアム開館記念展「ピカソ:コート・ダジュールの生活」

ヨックモックミュージアム
住所:東京都港区南青山6丁目15-1
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日・年末年始・展示替期間(ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌平日休館)
https://yokumokumuseum.com/

国立工芸館

2020年2月末に東京での活動を終了した、東京国立近代美術館 工芸館。石川県金沢市に移転し、「国立工芸館(正式名称:東京国立近代美術館工芸館)」として10月25日に開館しました。国立工芸館は、日本で唯一の工芸を専門とする国立美術館で、金沢に場所を移して開館するにあたり、陶磁、ガラス、漆工、木工・竹工、染織、金工、人形、デザインなど、全国各地・近現代のあらゆる工芸分野の秀作を網羅したコレクション約3,900点のうち、約1,900点が金沢へと移転される予定です。

建物は、1997年に国の登録有形文化財に登録された木造の旧陸軍施設「旧陸軍第九師団司令部庁舎」と「旧陸軍金沢偕行社」を移築・活用しており、展示室部分はRC造で復元して新築し、外観は今回の移築改修に伴い判明した建築当時の色を再現しているそうです。

国立工芸館 外観画像

国立工芸館 外観(写真:太田拓実)

旧陸軍金沢偕行社(2F多目的室)

旧陸軍金沢偕行社(2F多目的室) 写真:太田拓実

同館のロゴは、原田祐馬さんが代表を務めるデザインスタジオ・UMA design farmが担当しました。原田さんはロゴタイプについて、「私たちが着目したのは、『工』という漢字でした。(中略)工芸作品をよくみていくと、作者がこのようなものをつくりたいという意思が、手の反復する動きによってかたちづくられていることに気づきます。また、その反復から生まれたものを自立させる重力を感じることができます。そういった観点から“工芸”らしい字形をつくることができないか試行錯誤し、上下のラインを支える中心の線に重心を感じるエレメントをつけ、シンプルさの中に力強さとしなやかさをもたせました(コメントより一部抜粋)」と、制作にあたってのコメントを寄せています。

国立工芸館 ロゴとシンボルマーク

UMA design farmが担当した、国立工芸館ロゴ

石川移転開館記念となる展覧会第1弾は「工の芸術― 素材・わざ・風土」。本展では、「素材・わざ・風土」に着目し、近代日本工芸の名作約130点が展示されます。日本の近代化の中で工芸家たちがどのように「素材―自然」と向き合ってきたか、また時代と共に「自然のイメージ」をどのように捉え直してきたか、あるいはどのように土地と「もの」の関係を紡いできたかを探り、常に更新されていく日本の「風土」を紹介するものです。

開館記念展チラシ

国立工芸館
住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)※入館は公式サイトからの事前予約制
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)、展示替期間、年末年始
https://www.momat.go.jp/cg/

今回は5つの施設をご紹介しましたが、このほかにも全国各地でオープン/リニューアルオープンした施設がたくさんあります。知らなかったものや、知っていたけどまだ訪れていない!というものがあれば、芸術の秋を楽しむお出かけの参考にしてみてください。それぞれの施設では新型コロナウィルスの対策についても掲載されていますので、ご確認の上で足をお運びくださいね。

タイトルデザイン:かねこあみ 構成:石田織座(JDN)

※JDNアンケートは締め切りました。ご回答いただきありがとうございました!