この秋行きたい!2020年ニューオープンの施設5選

この秋行きたい!2020年ニューオープンの施設5選

「芸術の秋」と呼ばれる季節になりましたが、2020年は新型コロナウィルスの影響もあり、外出や遠出を控えているという方も多いのではないでしょうか?

そんな今年ですが、新しくオープンしたり、リニューアルしたという美術館やギャラリーなどの施設が多くあります。この記事では、その中から編集部がおすすめしたい施設5選をご紹介します。どんな施設かを紹介するとともに、施設において大切なロゴやサインのデザインや、現在開催中の企画展にフォーカスしてみました!

PLAY! MUSEUM

2020年6月10日に東京・立川の新街区「GREEN SPRINGS」内にオープンした、美術館と子どもの遊び場を中心とする複合文化施設「PLAY!」。今回紹介する「PLAY! MUSEUM」は、「絵とことば」をテーマにした美術館です。館内では有名な絵本作家を紹介する常設展と、新しい視点のクリエイターやアートを特集する企画展の、どちらも楽しむことができます。

PLAY! MUSEU外観画像

PLAY! 外観。内装設計は「ふじようちえん」などで知られる手塚建築研究所が担当

PLAY! MUSEUM 企画展 会場の様子

PLAY! MUSEUM 企画展「tupera tuperaのかおてん.」会場の様子

アートディレクションは、青森県立美術館のサイン計画やビジュアル・アイデンティティのデザインなどで知られるアートディレクターの菊地敦己さんが手がけています。「PLAY!」の意味にふさわしく、一文字ずつ動き出しそうなロゴを手がけた菊地さんですが、今回は従来のように形が決まって動かせないロゴではなく、「仕組み」をデザインしているそうです。「PLAY!」の文字だけではなく、アルファベットをひとそろえつくることで、たとえ施設やプログラムが増えても「PLAY!」の世界観を維持したまま拡張できるようにデザインされています。

PLAY! ロゴマーク(デザイン:菊地敦己)

PLAY! ロゴマーク(デザイン:菊地敦己)

12月29日まで開催している企画展は、「tupera tuperaのかおてん.」。さまざまな絵本賞を受賞しているクリエイティブ・ユニットtupera tupera(ツペラ ツペラ)による「顔」をテーマにした展覧会です。本展では、「顔」をテーマにした人気絵本の原画をはじめ、映像作品「かおつくリズム」、たくさんのパーツを使って自分だけの大きな顔をつくる参加型のものなど、平面・映像・立体とさまざまな表現の作品がたくさん展示されています。

「tupera tuperaのかおてん.」ロゴマーク

「tupera tuperaのかおてん.」ロゴマーク

PLAY!の公式サイトでは、グラフィックを手がけた菊地さんや、tupera tupera、企画展のビジュアルデザインを手がけたデザインチームminnaへのインタビューなどが掲載されていて、制作の舞台裏はもちろん、立川の魅力を伝える情報も満載です!なお、サイト内には来館者が安心して過ごせるよう、「来て・楽しんで・帰るまで」と題した新型コロナウィルスに関する情報をまとめたページも。イラストはtupera tuperaが担当しているので、こちらもぜひご覧ください。

PLAY! MUSEUM
住所:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:無休(展示の入替、年末年始をのぞく)
https://play2020.jp/

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム

手塚治虫をはじめ、昭和を代表するマンガ家たちが若手時代に暮らした木造2階建てのアパート「トキワ荘」。その外観や内装を忠実に再現した「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」が、2020年7月7日に東京・豊島区に誕生しました。

「マンガの聖地としまの象徴として、地域へ、世界へ、マンガ・アニメ文化を発信する」をコンセプトに、トキワ荘の持つ歴史的意義や文化的価値を再評価するとともに、現代の人々に当時の想いやエネルギーを伝えることで、マンガ・アニメを核とする地域文化の継承・発展を目指しています。

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム 外観

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム 外観 提供:トキワ荘マンガミュージアム

同館は1階と2階で大きく分かれており、1階はさまざまな角度からマンガを楽しめるフロアとして、マンガに関連した企画展示やイベントを行う「企画展示室」と、トキワ荘ゆかりのマンガや書籍が配架された「マンガラウンジ」があります。 2階は木造アパート・トキワ荘をリアルに体験できるフロアとして、マンガ家の部屋や共同炊事場、トイレ、廊下や階段などが細部まで忠実に再現されています。今回、中心となって設計を手がけたのは、株式会社丹青社です。

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム 1階 マンガラウンジ

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム 1階 マンガラウンジ 提供:トキワ荘マンガミュージアム

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム2階 マンガ家の部屋の画像

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム2階 マンガ家の部屋

10月30日から始まる企画展は、トキワ荘に住んでいたマンガ家たちのアニキ分的な存在として知られる寺田ヒロオさんにフォーカスした内容です。彼のマンガにかけた思いを直筆原稿や貴重な資料と共に紹介しています。会期は2021年1月11日まで。なお、来館については現在は予約制となっているため、公式サイトの確認をお忘れなく!

トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展

トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展 ©寺田ヒロオ

展覧会名:トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展
会期:2020年10月30日(金)~2021年1月11日(月・祝)
入場料(グッズ付き):大人500円、小中学生100円、未就学児・障がい者は無料
※ミュージアムへの施設入館料は無料。ただしミュージアムへの施設入館には事前予約が必要
会場:豊島区立トキワ荘マンガミュージアム 1階 企画展示室

豊島区立 トキワ荘マンガミュージアム
住所:東京都豊島区南長崎3-9-22
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)※入館は公式サイトからの事前予約制
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)その他年末年始、展示替え期間
https://tokiwasomm.jp/

弘前れんが倉庫美術館

新しい現代美術館として、2020年7月11日に青森・弘前市にグランドオープンした「弘前れんが倉庫美術館」。同館は明治・大正期に建設され、近代産業遺産として弘前の風景を形づくってきた吉野町煉瓦倉庫を改修してつくられた施設です。もともと、実業家の福島藤助さんにより酒造工場として建設されたのがはじまりで、日本初の大々的なシードル(りんごの発泡酒)の製造などが行われていました。

同館は地域のクリエイティブ・ハブ(文化創造の拠点)となること目指しており、5つの展示室のほか、貸出用の3つのスタジオや市民ギャラリー、無料で利用できるライブラリースペースが設けられています。この歴史ある建物の改修は、建築家の田根剛さんが担当しました。「記憶の継承」をコンセプトに、高度な耐震補強と既存の煉瓦壁を内外無傷で保存する設計により、建物の記憶を引き継ぎ、未来の時間へとつなぐための建築になっています。

弘前れんが倉庫美術館外観画像

弘前れんが倉庫美術館 外観。屋根は寒冷地においても耐久性と耐食性を備えるチタン材を採用。光の角度によって刻々と移り変わるシードル・ゴールドの屋根は、美術館のシンボルとなり風景に彩りを与えています。 ©Naoya Hatakeyam

弘前れんが倉庫美術館内観 ライブラリースペース画像

弘前れんが倉庫美術館 ライブラリースペース 撮影:⼩⼭⽥邦哉

ロゴを手がけたのは、グラフィックデザイナーの服部一成さん。長く伸ばされた弘前の頭文字「H」が美術館名の上部に乗り、名称の文字列の長さにあわせて変化するデザインとなっています。伸縮する「H」の形は、人々の記憶を宿した煉瓦倉庫が美術館に生まれ変わる、その過去から未来へ続いていく時間軸を表しているそう。上下に移動しながら流れていく文字は、美術館の中を巡り、作品との出会いから生まれる心の動きをイメージしています。

弘前レンガ倉庫美術館ロゴデザインの画像

服部一成さんが手がけたロゴデザイン

2021年3月21日まで開催中の企画展示は、「小沢剛展 オールリターン —百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる」。本展は、現代アーティストの⼩沢剛さんの、東北地⽅初となる⼤規模な個展です。グローバルに活躍した近現代の⼈物を題材に事実とフィクションを交え、絵画、映像、⾳楽で構成される《帰って来た》シリーズを観賞することができます。

小沢剛展 オールリターン<br />—百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる チラシ

小沢剛展 オールリターン
—百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる チラシ

同館では美術館をもっと楽しむためのフリーペーパーを発行したり、地域とつながるイベントを開催したりとさまざまな取り組みを行っています。なお、長期展示作品として、同館のエントランスに奈良美智さんの作品「A to Z Memorial Dog」が設置され、来館者を迎えてくれています。こちらの作品も必見です!

弘前れんが倉庫美術館
住所:青森県弘前市吉野町2-1
開館時間:9:00~17:00
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日に振替)、年末年始
https://www.hirosaki-moca.jp/

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