本記事では、ササキ工芸から2024年11月に発売される「フォトフレーム」を紹介。デザインを手がけたのは、デザイナーの石橋忠人さんです。今回、商品のコンセプトや特徴について石橋さんにコメントをいただきました。
■背景
3年ほど前にササキ工芸さんからお声がけいただいて以来、製品ラインアップの整理と製品デザインを手がけています。創業以来、現場のアイデアで具現化されてきた商品群は、木工の手業が光る魅力あふれるものでした。
一方で、若い現場の職人たちが実際に自分で使ったり、誰かに贈ることができる製品が思いのほか少ないという状況でもありました。それは、若い彼らのいまの生活に必要なものと、長い間販売され続けてきた商品の魅力にわずかなズレが生じていたのかもしれません。彼らはつくり手であると同時に、これからの使い手でもあります。
そんな彼らの生活に心地よく響く製品ラインナップを丁寧に選び、製品化を進めてきており、すでに30アイテムを超えるプロダクトを商品化しました。現在も商品企画とデザインが進んでいますが、そのなかで、これから起きるさまざまなイベントの写真を部屋に留め置くフォトフレームは必須のアイテムとして企画されました。
■コンセプト
小物をまとまった数量生産することに長けた、ササキ工芸の生産現場が活きることを念頭にデザインしています。具体的には、NC加工(数値制御による、機械をつかった加工方法)と手加工を行き来し、安定的に生産できる商品を生み出したいと考えています。
■特徴
四辺を組み合わせる一般的な構造とは違い、無垢材から環状に削り出し、職人が丁寧に磨き上げた柔らかなフォルムのフォトフレームです。スタンド付きなので、デスクや書棚、リビングボードなど、インテリアのどんな場所にも飾ることができます。
柔和な表情のフォトフレームは、子どもの誕生から就学、結婚などの記念日や、お気に入りの一枚など大切な思い出を受け止めます。サイズは、L判がちょうど収まる高さのSタイプと、幅の広いLタイプの2種類。カラーバリエーションは、ナチュラル、グレー、ブラックの3種類です。
一般的なフォトフレームは、4本の枠、透明窓、そして裏板で構成されていますが、精度をもって小さいパーツを量産するにはどうしても加工コストが上がり、自ずと商品単価が上がります。
そこで、特注で製作したNC加工用の刃物を使い、無垢材のまま枠と裏板を一気に加工する構造を採用しました。これにより細かい部品の組み立て工程が無くなるだけでなく、NC加工機が動く軌跡をコントロールできるため、枠全周を柔らかい形状で整えることができ、手加工の磨き工程にも適した形状となりました。従来の角張ったフォトフレームとはまったく違う、柔和な表情を与えることができました。
裏板が外れないので写真の入れ替えができないはずなのですが、それは現場の設計者が知恵を絞って出したアイデアを採用させていただきました。ボリューム感のあるシッポのような背面の脚は、このフォトフレームの愛らしさに寄与していますが、マグネットで取り外しが可能なため、梱包形状も大きくなりません。
フォトフレーム
サイズ | S:W163×D82.5×H125mm/L:W218×D82.5×H125mm |
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カラー | ナチュラル、ダークグレイ、ライトグレイ |
予定価格(税抜) | S:6,000円/L:8,000円 |