新しい素材や色、形によって生活に彩りを添えてくれるモノ
シューズメーカーのオリエンタルシューズ、クリエイティブファームのOFFICE CAMP、グラフィックデザイナーの山野英之、奈良にゆかりのある三者が協働して生まれたブランド「TOUN(トウン)」。
奈良でつくること、考えること、かたちにすることを大切にしているという「TOUN」の特徴について、オリエンタルシューズの森口龍さんに伺いました。
■背景・コンセプト
履物文化の歴史で知られ、古くは城下町、文化の交差点として栄えてきた奈良県北部に位置する奈良県大和郡山(やまとこおりやま)市。その地で70年にわたり、靴づくりを行ってきたシューズメーカーのオリエンタルシューズと、地元奈良のデザインファームOFFICE CAMP、東京を拠点とする奈良出身のグラフィックデザイナー山野英之のプロダクトデザインによって「TOUN」は誕生しました。
「時の流れから学び、新しいものを生み出す“New nostalgic(ニューノスタルジック)”」をブランドコンセプトに、歴史・技術・機能といった視点から、製造業や手工業からの連鎖を生み、文化の多様性を紡いでいくために、奈良でつくること、考えること、かたちにすることを大切にしています。
■特徴
TOUNの靴は、アッパーに牛革のスエード、ソールにゴム製の靴底を採用しており、革靴とスニーカーの両方の特徴を持っています。スニーカーのような柔らかさは、ライナー(裏地)なしの仕様である「アンライニング」で再現。
通常、革靴は表革と裏革の2枚の革を重ねて使いますが、TOUNは表革を1枚に、裏革を最小限にすることで足あたりを柔らかくしています。表裏の2重構造よりも革の伸びが出やすいので、吸い付くような履き心地を実現しました。スエード素材を余すことなく隅々まで使うことで、革の廃棄による環境負荷への配慮も行います。
また、ソールとアッパーの側面を一周縫い付ける「サイドマッケイ製法」を採用していることも特徴です。この製法は、スニーカーでたまに発生する、靴底が外れることを防ぐための堅牢な革靴づくりのための技術です。
TOUNのバリエーションは、「Three」「Five」「Seven」の3型。それぞれ紐を通す穴の数の違いによって名づけられました。カラーは定番のグリーンと、2022年限定のキャメルの2種類です。
「Three」は、履き物の原点とも言える「包む」靴から着想を得たデザインで、特徴的な形状を生み出します。一枚の革に、切れ込みを入れただけのシンプルな構造は、TOUNのなかでも、最も柔らかな履き心地となっています。
「Five」は、スニーカーのはじまりであるデッキシューズをモチーフにしたデザイン。「three」に比べ、アイレット(靴紐の穴)を増やすことで、フィット感を高めています。柔らかさと、フィット感のバランスが良いモデルです。
「Seven」は、スニーカーをトレンド化させた競技用シューズを手本に、より足へのフィット感を高めたモデル。TOUNのなかで唯一のミドルカットで、サイドを補強するパーツにより、しっかりとした歩き心地と、耐久性を備えています。
■グラフィックデザイナー・山野英之さんのコメント
デザインを基にしながら、履物の歴史や奈良の時代考証を深め、紐付けていきました。靴底の種類やスニーカーが生まれた時代の奈良の産業を調べたり、奈良だから「亡くなった鹿の革を使えたりしないのか?」なんてことまで半分冗談、半分本気のような感じで話し合いました。
履物の機能とメーカーの技術、奈良の歴史、という3つの観点から考えていき、そういう作業を重ねているうちに、少しずつ点が線として繋がっていく感じがあり、この3型が生まれました。3足の変遷で奈良を表現する、それがまたおもしろいなと思います。
ブランド:TOUN
TOUN(トウン)は、「東雲」明け方の空、あけぼのの意。闇から光へと移行する夜明け前に茜色に染まる空を意味する。沓(とう/TOU)は、奈良時代における「あしをいれるもの」全般を指す言葉。
奈良の革靴メーカー・オリエンタルシューズの技術を用い、奈良出身のグラフィックデザイナー〈TAKAIYAMA.inc〉の山野英之を迎え、奈良のスニーカーとして2020年秋にスタートしました。
TOUN
サイズ | レディース:22.0cm~24.5cm、メンズ:25.0cm~28.0cm ※共に0.5㎝刻み |
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カラー | Green(グリーン)、Camel(キャメル) |
型 | Three、Five、Seven |
素材 | 牛革スエード |
価格(税込) | 25,300円 |