KOSEN

現代に合わせてリデザインされた「大名の日用品」

佐賀県伊万里市の鍋島焼窯元「鍋島虎仙窯」が手がける新しい鍋島焼のブランド「KOSEN」。色鍋島、鍋島青磁、藍鍋島という3つの技法をさまざまに用いた製品群は、卓越した技術力をもつ虎仙窯だからこそつくることのできるラインナップだ。

現在のシリーズは、ゴブレット、高台皿、リバーシの3つ。ゴブレットと高台皿は、色鍋島、鍋島青磁、藍鍋島の3つの展開になっている。製品形状のプロダクトデザインをPRODUCT DESIGN CENTER、ブランドロゴや製品の柄などグラフィックデザインをm2が担当。キーワードとなったのは、「大名の日用品」だ。

鍋島焼のはじまりは、1675年、将軍への献上品をつくるため、肥前国の有田・伊万里(佐賀県有田町、同県伊万里市)地域で選りすぐりの陶工31人を集結させて鍋島藩が藩窯を築いたことから。当時は庶民には決して手に入らない、将軍や大名だけが使うことのできた最高の品で、まさしく「大名の日用品」としてつくられた。陶工たちは国内最高の技術者集団として、持てる技術のすべてを傾け、子々孫々にわたり鍋島焼を焼造し続けた。虎仙窯を営む川副家も、そうした陶工一族の末裔だ。藩窯は廃藩置県とともに民窯へ姿を変えたが、その技術はいまもなお、鍋島の名とともに虎仙窯へと受け継がれている。

鈴木啓太さん(PRODUCT DESIGN CENTER)のコメント
昔から世界中の美術館で青磁を見てきたが、中国の古い青磁はため息が出るほど美しく人気があり、近年では海外のオークションで一枚のお皿に42億円の価値がついていたりする。普通にやっては中国の青磁器に勝てないと思い、当初から良い意味で「変なもの」を作ろうという思いが強くあった。

古い青磁を見続けていると、ただシンプルなデザインをするだけでは青磁の魅力を表現できないことが分かる。青磁釉薬は、膜厚が変わることで色彩の濃淡が美しく変化する特徴を持っており、それを活かすには形状は複雑かつ滑らかでなくてはならない。また、鍋島の産地の魅力をより伝えるためには独自の新しい絵付けも開発する必要があった。グラフィックデザインの領域で活躍されている村上雅士さんと、平面と立体のデザインを並行で検討し、新しい鍋島焼を発明し、ゴブレットやお皿、リバーシを作った。これまで焼物の産地からは出てこなかったアイテムは、日本の工芸世界をより拡げ、鍋島焼の特徴や魅力を最も表現しているのではないかと思い、とても気に入っている。

川副隆彦さん(鍋島 虎仙窯 番頭兼絵師)のコメント
「KOSEN」は鍋島虎仙窯の歴史の中でも初めて外部のデザイナーと共同で創り上げたブランドです。鍋島の背景を深く汲み取って表現していただいたことにより、「美術的商工藝品」をコンセプトにした新しい価値を生み出す鍋島虎仙窯のブランドが誕生しました。

デザイン:PRODUCT DESIGN CENTER

2012年設立のプロダクトデザイン事務所。醤油差しから鉄道車両まで幅広くプロダクトを手掛ける。代表はプロダクトデザイナーの鈴木啓太。

グラフィックデザイン:村上雅士(m2

村上高士と村上雅士の2名のアートディレクターによるデザインスタジオ。2012年設立。グラフィックを中心としたデザイン、広告、ブランディング、本の装丁、パッケージデザイン、プロダクトデザインなどの立体のデザイン、Webのアートディレクションまで幅広く手掛ける。JAGDA新人賞、東京TDC賞、ONE SHOW Gold、NYADC、英D&AD賞など国内外で受賞多数。

KOSEN 高台皿

バリエーション 色鍋島、鍋島青磁、藍鍋島
価格(税別) 4,000~12,000円

KOSEN ゴブレット

バリエーション 色鍋島、鍋島青磁、藍鍋島
価格(税別) 6,000~18,000円

KOSEN リバーシ

バリエーション 色鍋島、鍋島青磁
価格(税別) 30,000円

【問い合わせ先】tel:0955-24-2137 メール:info@nabeshima-kosen.jp(鍋島 虎仙窯)