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2011 / 映像インスタレーション、サイレント

東京都吉祥寺エリアで開催された展覧会「TERATOTERA祭り」での展示。かつて戦後の闇市として機能していた区画が飲屋街へと変化したハモニカ横丁に注目し、歴史の面影を残す褐色のトタン屋根に光をあてようと思った。屋根をスクリーンに見立て、ビール瓶の蓋が降り注がれる実写映像を投影した。王冠の蓋が飛び散る様子が硬貨のようにも見え、現在の飲屋街の風土と闇市だった頃の記憶がオーバーラップする。横丁の向こうに広がる商業ビルを借景にすることで、街の変遷で生まれた陰影のコントラストを反転させようと試みた。

Photo by Ujin Matsuo

志村信裕(アーティスト)

志村信裕(アーティスト)

1982年東京都生まれ。2007年武蔵野美術大学大学院映像コース修了。「光をあてる」をテーマに、これまで一貫して映像プロジェクションによるインスタレーションを発表。身近なものを題材にした実写映像を日常風景に重ねあわせることで、見慣れた風景に新たな視点をつくりだす。近年では代表作《赤い靴》をきっかけに国内外のパブリックスペースを中心とした屋外プロジェクトにも多数参加し、その表現は場所に限定することなく自由に展開される。2007年NHKデジスタ・アウォード2007インタラクティブ/インスタレーション部門グランプリ、2011年地域が選ぶ黄金町バザール賞を受賞。
http://nshimu.blogspot.com/

2012/2/8 0:00