CSデザイン賞 受賞者に聞く《一般部門》——アイデアをかんたんに実現するカッティングシートが、新しい可能性をつくる

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CSデザイン賞 受賞者に聞く《一般部門》——アイデアをかんたんに実現するカッティングシートが、新しい可能性をつくる

今年で20回目となる歴史あるアワード「CSデザイン賞」を知っていますか?同賞は株式会社中川ケミカルが2年に1度主催する「カッティングシート®(以下、カッティングシート)」のデザインアワードです。単色やメタリック、蛍光、透明などカッティングシートのバリエーションは約300色。デザインを自由に切り貼りするだけでなく容易にはがすことができるため、ウィンドウディスプレイや展示会、サインの装飾など多くのクリエイターの創作現場で使われ、支持されてきました。

「CSデザイン賞」は、そんな装飾用シートを用いた適切で創造性に優れたデザインを発信・共有するアワードです。「第20回CSデザイン賞」の受賞者のコメントを通して、カッティングシートという素材が持つ可能性や魅力をお伝えします!

「カッティングシート」は、豊富なカラーバリエーションと汎用性の高さから、空間を彩る素材として常に時代のニーズを支えてきました。1980年代にCIブームなどの影響もあり、装飾用シートは飛躍的に普及。一方で、街の景観と素材の関係に危惧を感じた中川ケミカルは、適切で創造性に優れたデザインを社会で共有する活動が素材メーカーの役目と考え、CSデザイン賞を創設しました。

同賞は一般部門と学生部門に分かれており、1982年の第1回開催から、これまでに多くのデザイナーや建築家が作品を応募してきました。今回の応募作品点数は、一般部門161点、学生部門309点の、計470作品。数多くの応募の中から一般部門でグランプリを受賞したラング&バウマンに、作品に込めた思いや受賞の感想、カッティングシートという素材の魅力についてお聞きしました。

作品を象徴的に自立させた、装飾用シート

一般部門はカッティングシートおよびそれに準ずる装飾用シートを使用し、指定期間内に実際に建築ファサードやエクステリア、インテリア、ウィンドウ、イベントのディスプレイ、サインなどに施工された作品が対象となりました(今回は2016年4月1日から2018年3月30日までの期間)。

グランプリ「Beautiful Bridge #2」/ラング&バウマン
Photo:L/B

Photo:L/B

グランプリを受賞したのは、スイスのアーティストユニット、ラング&バウマンによるアート作品「Beautiful Bridge #2」。この作品は、2016年7月に東京・二子玉川を舞台に開催されたアートプロジェクト「TOKYO ART FLOW 00」の出展作品で、本作は設置が一時的であることを前提に、国道246号線の橋脚を利用したパブリックインスタレーションとして制作されました。色とデザインで構成された圧倒的な表現は観客を魅了しました。

——受賞の感想と、今回の作品のコンセプトを教えてください。

ラング&バウマン(以下、L/B):私たちのプロジェクトがグランプリに選ばれ、とても光栄に思います。今回の作品は、力強く、そして色鮮やかなイメージで橋脚を覆うことで、橋の下という不思議な空間の垂直性を強調するというコンセプトがありました。独特のジグザク形状で表現されるパターンが、自立した新しい要素として空間の中に存在するよう制作しました。

ラング&バウマン<br />サビナ・ラングとダニエル・バウマンという二人のスイス人アーティストによるユニット。構造物、建築と作品がどのように作用しあうのかに着目し、展示空間そのものを変換、鑑賞者を作品の一部に取り込む制作を得意としている。

ラング&バウマン
サビナ・ラングとダニエル・バウマンという二人のスイス人アーティストによるユニット。構造物、建築と作品がどのように作用しあうのかに着目し、展示空間そのものを変換、鑑賞者を作品の一部に取り込む制作を得意としている。

昼間と夜でちがった印象を見せていた(Photo:L/B)

昼間と夜でちがった印象を見せていた受賞作品(Photo:L/B)

——アート作品を制作するときは、どのようなプロセスを経てつくっているのでしょうか?

L/B:まずは現場を訪れるようにし、その上で最適な素材や介入の仕方を考えます。はじめに調査を行い、その場の状況をできる限り把握します。私たちは2人のユニットなので、スケッチを描く前にとことん話し合うようにしているんです。時にはモックアップを作成することもありますね。プロジェクトの方向性が決まったあとは、綿密な計画を立てるよう心がけています。

——カッティングシートという素材のおもしろさや魅力は何だと思いますか?

L/B:通常は塗料を使い壁に直接作品を描いていますが、今回使用した装飾用シートは非常に魅力的な素材でした。このシートを使うことで、下地のコンクリートの凹凸をそのまま表現できますし、とても色鮮やかで表面の質感もよく、塗料を使うよりも満足のいく表現方法ができたと思っています。そして何より、展示終了後にきれいにはがせるところが素晴らしいですね。

施工の様子

施工の様子

これまでに、世界中でビルや道路など公共の場を変容させ、新たな空間を生み出すような作品を制作してきた彼らにとっても、装飾用シートの魅力は大きかったようです。

また、準グランプリは「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」のサイン計画、ファッションブランドspoken words projectと中川ケミカルによる企画展「はる つくる」、大分県の事業『みんなの芸術文化体験事業』において制作された「はぎのの森」の3つが受賞しました。

上:「TOKYO ART BOOK FAIR 2017」サイン計画
下左:企画展「はる つくる」
下右:「はぎのの森」作品の一部

ただカッティングシートを貼るだけでなく、シートと別素材を組み合わせて新しい可能性を探った表現や、シートの上から絵を描いて作った表現、シートを折り込んで立体的にしたもので飾ったウィンドウディスプレイなど、表現の仕方や幅がさらなる広がりを見せているのが特徴的でした。貼るのも剥がすのも簡単で、誰でも自由に表現ができる素材は、これからもクリエイターだけでなくさまざまな人にとって自由な素材となっていくはずです。

https://www.cs-designaward.jp/index.html