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バイオアート

バイオテクノロジーは未来を救うのか。

バイオアート

バイオアート。それは、生命科学やテクノロジーの進化が招く哲学的、倫理的な問題を可視化し、その是非を広く議論するための表現物です。

地球は今、新たな地質年代「人新世」に突入したと言われています。それは、10万年単位の地質年代として区分できるほどに、人間活動が地球環境に大きな影響を及ぼしているということの表れです。環境破壊、絶滅生物、異常気象、人口急増……私たちは今、数々の大きな問題に直面しています。

人間とはいったい何者なのか? テクノロジーは神なのか? そもそも文明と自然と呼ばれるものの境界はどこにあるのか?――バイオアートは、微生物、蛍光発光、遺伝子情報、コンピュータによるコーディング、画像装置などを利用して、こうした「人新世」の我々が持つアイデンティティ、自然、環境に対する倫理観を、シフトさせようと挑みます。

本書は、バイオアーティスト50名の活動を紐解きます。生物自体をメディアとした表現、人間の身体に宿る無数の微生物群「マイクロバイオーム」に注目した作品、未来の可能性を思索する「スペキュラティヴ・デザイン」など、さまざまな作品手法とともに、バイオアートの役割、そしてバイオテクノロジーによってもらたされる未来について考えていきます。

荻野史暁(ビー・エヌ・エヌ新社)おすすめコメント

ビジネスとしてデザインに取り組むみなさんは、日々「問題解決」に奮闘されていることかと思います。


その一方で、「問題提起」をするためのデザインが今注目を浴びつつあります。「問い」を生み出すことで、未来の可能性を思索し、広く議論を呼びかけることを目指したもので、「デザイン・フィクション」や「スペキュラティヴ・デザイン」などと呼ばれています。


デザイン/アート、と呼び名が異なるのでややこしいところですが、本書「バイオアート」も、そんな「スペキュラティヴ・デザイン」と同じ視点を持っています。環境破壊、異常気象、人口増加、遺伝子組み換え、絶滅生物……地球に暮らす人間として、私たちはこうした「解決不能」な問題を山ほど抱えています。なぜ人間だけが他の生物を支配してよいと思っているのだろうか? 自然と文明の境界はどこにあるのか? バイオアートは、ときにはユーモアや皮肉を含みながらこうした「問い」を立て、人間のアイデンティティや、自然に対する倫理観を揺さぶることで、これらの問題を克服しようと挑みます。


もしかしたら、こうした視点こそ、本当に世界を変えるためのイノベーションに必要なものなのかもしれません。


発行 ビー・エヌ・エヌ新社
著者 ウィリアム・マイヤーズ
監修 久保田晃弘
岩井木綿子、上原昌子
寄稿 長谷川愛
デザイン waonica
仕様 A5判、416ページ
価格 3,400円(税抜)
ISBN 978-4-8025-1019-6