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NO.88 カシコチェア
─ 働く女性の悩みに応えたオフィスチェアの開発 ─
  UP DATE : 08.12.17  仲田裕紀子/ユニバーサルデザイン編集部  


カシコチェア
女性にフィットする座面形状
女性の骨格形状に合わせた座面形状、下腿のむくみを軽減するサーキュシート、美しい姿勢を支えるブレスバック機構など、女性特有のニーズに応えたオフィスチェア「カシコ」。
開発にあたり、オフィスでの女性ワーカーの姿勢や心理を徹底的に調査検証したという。カシコチェアは日本人間工学会が主催する人間工学グッドプラクティスデータベースにも登録された。
イトーキ中央研究所の八木佳子さんにご寄稿いただいた。


八木佳子 やぎよしこ
株式会社イトーキ マーケティング本部 中央研究所 U/D研究室 室長。認定人間工学専門家
製品開発の前段階に当たる調査研究に従事。調査研究に基づく製品の原案の提案や、試作品の評価などを行う
 




椅子にかかわる男女差は存在するか? 開発の背景

言うまでもないことだが、働く女性は増えている。労働者全体では男性のほうが多いが、オフィスワーカーに該当する職種に限ってみると半数近くが女性である。そのうち、特にオフィスで過ごす時間の長い事務職では女性のほうが多く、1990年には6割を超えている。

しかしオフィスで使われる家具は、長い間作る側も選ぶ側も主体は男性だった。一部を除けば職場の決定権を握っていたのは男性だったからだ。メーカーとしては従来から「大柄な男性から小柄な女性までが使える」ものづくりを目指してはいたのだが、知らず知らずのうちに男性好みの仕様になっている部分があるのではないかという疑問を持っていた。

そこで慶応義塾大学理工学部山崎信寿教授との共同研究を行うにあたり「椅子と女性」をテーマとして、「椅子にかかわる男女差の有無」の検証から研究をスタートした。


オフィスで働く女性の実態調査

実験室での調査の結果、いくつかの違いが明らかになった。そのうち最も特徴的だったのは座面形状に対する好みで、男性は相対的に平たい座面を好み、女性はくぼみの深い、つまり丸みのある座面を好むのである 【 図 1 】 。女性のほうが骨盤形状に丸みがあり、臀部の脂肪が多く、腰周りに丸みがある。丸みを帯びた女性の体には、丸みを帯びた面がフィットするということである。ちなみに一般的なオフィスチェアは、比較的平たく男性好みのものが多い。

座面形状という椅子の座り心地を左右する重要な部分に顕著な男女差があることがわかったので、オフィスで働く女性についての実態調査を行うことになった。女性が多い職場5社を訪問して観察調査を行い、その後そこで働く人にインタビューを行った。観察調査では、多くの女性が椅子の背もたれを使わず、前かがみの姿勢で作業をしている様子や、ひざ掛け、座布団、クッションなどを使用して環境や家具が自分に合わない点を補うように工夫している様子が見られた。 【 図 2 】

インタビューは聞くほうも聞かれるほうも女性だけで行い、オフィスやオフィスワークについての要望や不満とともに、観察調査で見られた点についての質問に、なるべく本音で話してもらえるようにした。すると、ひざ掛けを使うのは冷え対策であると同時に足元を隠すためである、というような意見を聞くことができ、女性特有の意識が姿勢や持ち物に影響を与えていることがわかった。

*クリックすると、拡大画像をご覧頂けます
オフィスで働く女性の実態調査
【 図 1 】 

オフィスで働く女性の実態調査
【 図 2 】 女性オフィスワーカーの実態調査と実験室での調査




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