資生堂銀座ビル1Fのウィンドウにて、7月12日まで展開しているインスタレーション「Shiseido Beauty Innovation」。コンテンポラリーデザインスタジオ「we+」と資生堂のアートディレクター菊地泰輔さんがコラボレーションして生まれた作品です。黄色や赤など色とりどりの500本の糸がシステマチックに動き、収縮と拡大を繰り返したりモアレのように見える瞬間があったりと、独特の緊張感と美しさを持ったインスタレーションになっています。
we+の安藤北斗さんと林登志也さんに、制作の背景やコンセプトについてうかがいました。
■制作背景
資生堂では、企業のブランドアイデンティティを伝えるため、年4回、資生堂銀座ビルの1Fを活用した空間展示を行なっています。今回のテーマはBeauty Innovation。さまざまな価値観やアイデアのぶつかりあいと、美の多様性があってこそ、真のInnovationは起こるのではないだろうか?そんな思いから、美の多様性を追求したインスタレーションを制作しました。
■コンセプト
資生堂の企業理念につながる「美の多様性」を表現した、糸で構成されるインスタレーションです。垂直方向にピンと張られた12層の糸の集合体が、静止状態からモーター制御によって規則的かつ大胆にかたちを変えるウィンドウ・ディスプレイと、見る角度によって全体のシルエットやモアレがダイナミックに変化する、ビルの吹き抜けを活用した大型展示。2つの作品を通して多彩な糸の表情を見せることで、美の多様性を追求しています。
■手法・特徴
ウィンドウ・ディスプレイでは、見えている糸の倍近い長さの糸を構造内に隠して動きを制御しており、それによって、ピンと張られた糸がまるで伸縮性の高いゴムのように左右に開く演出が可能となりました。また、約500本の糸の集合体を、絡まることなくスムーズに制御するために、内部機構もすべてオリジナルで開発しており、3ヶ月以上にわたる長期展示にも耐えうる設計となっています。
さらに、繊細でありながら1本1本の存在がより際立つように、オリジナルで染色した糸を使用。レイヤーごとに糸の色を変えることで、糸の動きによってグラデーションが現れ、より立体的かつ躍動的に見えるよう配慮しました。このグラデーションは吹き抜けを活用した大型展示にも生かされており、見る場所が変わると大きく印象も変わります。
待ちゆく人を思わず立ち止まらせるインスタレーション。展示は7月12日までなので、ぜひその場で糸の動きや色のグラデーションを楽しんでみてください!
リサーチと実験に立脚した独自の表現手法で、新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデザインスタジオ。林登志也と安藤北斗により2013年に設立。Gallery S. Bensimon(パリ)やRossana Orlandi(ミラノ)などのデザインギャラリーに所属。国内外での作品発表のほか、多様なバックグラウンドを持つメンバーそれぞれの強みと、日々の研究から得られた知見を生かし、インスタレーションをはじめとしたコミッションワーク、ブランディング、プロダクトやビジュアルの開発など、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手がける。
ディレクション・デザイン | 菊地泰輔/資生堂、安藤北斗・林登志也/we+ |
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デザイン・ディベロップメント | 青木陽平・関口愛理/we+ |
テクニカルディレクション・デザイン | 日下部理/Perspectives |
ソフトウェアプログラム | 加藤未央/siro |
照明 | 星野悟義/MGS |
設計 | we+、Perspectives |
施工 | マリ・アート |
協力 | NBCメッシュテック、K'S METAL |