「KB Primary and Secondary School」は、長崎県佐世保市に2019年春に改修が完了した、小中一貫校です。規格化された家具は使わず、それぞれの教室の用途や特徴合わせて家具をデザインしたという同校の改修を手がけたのは、幼児施設を多く手がける日比野設計。
日比野設計に、改修の背景やコンセプト、手法などについてうかがいました。
■制作背景・コンセプト
長崎県佐世保市の廃校となった中学校を、小中一貫校に改修する計画です。現在、多くの学校建築が更新時期を迎えており、ICTやアクティブラーニングの普及など、主体的・能動的な学びを促す教育需要の変化への対応が求められています。
これらの現状を踏まえ、躯体を再利用し内装改修を行った上で、KIDS DESIGN LABOと協同で主体的・能動的な学びを促す学校家具のデザインを一新し、ローコストな学校改修を実現しました。

開放的な茶室のあるエントランス

放送室
■工夫した点
たとえば、美術室の台形の机と椅子は、活動内容や人数に応じてレイアウトを変えることができ、生徒の創造的な活動を促します。

美術室
アクティブラーニング室の勾玉の形をした机とキャスター付きの椅子は、大小さまざまなグループを形成し、自由に移動ができることで活発な議論を促しています。

学びに合わせて机を動かすことのできるアクティブラーニング室
ホームルーム教室の家具を含め、木材は自然素材のみを使うことで、生徒たちは木がどのように経年変化していくかを学び、モノを大切にする心を育みます。

木の温かみが感じられるホームルーム教室
また、KIDS DESIGN LABOと佐世保市出身のデザイナーとのコラボレーションのもと、制服のデザインも行いました。米国文化が入り混じる佐世保でかつて流行したアイビールックをモチーフとした制服のデザインをすることで、生徒が毎日着用する制服を通して、地元の歴史に触れ、地元への愛着を育みます。
内装、家具、制服のトータルデザインを通して、学校生活の中で子どもたちのあらゆる経験と学びを促せるよう改修し、現代の教育に対応した小中一貫校へと生まれ変わりました。
所在地 | 長崎県佐世保市 |
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設計監理者 | HIBINOSEKKEI+Youji no Shiro+KIDS DESIGN LABO |
敷地面積 | 25992.96m2 |
建築面積 | 3505.99m2 |
延床面積 | 5856.35m2 |
構造規模 | 昇降口棟(新築)/鉄骨造1階建、小学校棟(改修)、特別教室棟1(改修)、特別教室棟2(改修)、コミュニティ棟(改修)、体育館棟(改修) |
竣工 | 2019年4月 |
撮影 | Toshinari Soga(studio BAUHAUS) |