創造力で地域に貢献、金沢美術工芸大学の社会連携プロジェクト(2)

創造力で地域に貢献、金沢美術工芸大学の社会連携プロジェクト(2)
学生と企業や公共団体が一緒になり、企画や製品開発をすすめる「社会連携プロジェクト」。近年さまざまな大学が積極的に取り組み、メディアで取り上げられることも珍しくない。その中でも実績が多く、美大ならではの発想や創造力で地域に貢献する金沢美術工芸大学にスポットを当てた。

産学連携事業の事例

■「アルコールばなれした若者に日本酒の魅力を届ける新しいパッケージデザイン」の提案

アルコールばなれした若者たちに向け、日本酒が持つ心理的ハードルを下げるパッケージデザインの制作をおこなった。学生が自らその原因を究明すべく、市場調査やユーザー観察などを通して解決するきっかけを見つけていった。実際に日本酒メーカーに企画プレゼンテーションをおこない、製品化されたプロジェクト。

アルコール離れ

期間:2013年5月1日~2014年3月31日
委託者:凸版印刷株式会社
研究体制:プロジェクト型
担当教員:寺井剛敏 教授(デザイン科 視覚デザイン専攻)、畝野裕司 准教授(デザイン科 環境デザイン専攻)
参加学生:奥村あづさ(デザイン科 視覚デザイン専攻4年)、荒川真里奈、森田優里、松村怜美(デザイン科 視覚デザイン専攻3年)、白木裕也、田中理実(デザイン科 環境デザイン専攻3年)

■兼六園ガイドユニフォーム・デザインプロジェクト

北陸新幹線開業に合わせ、金沢の観光名所である兼六園のガイドのユニフォームデザインを30年ぶりに一新したプロジェクト。総勢40名近くのガイドが着用するユニフォーム一式のデザイン依頼を受け、春夏物と秋冬物の2パターンのコーディネートを提案した。コンセプトは、大勢の観光客の中にいてもガイドを見つけやすく、かつ浮きすぎずに風景に溶け込むような“兼六園らしい”デザインということ。兼六園内のリサーチはもちろん、ガイドや兼六園内の茶屋店主など関係者からのヒアリングを重ね、年齢や体型を問わず女性が素敵に見える制服をデザインし、制作を行った。

兼六園

期間:2014年8月~2015年3月
委託者:協同組合 兼六園観光協会
研究体制:プロジェクト型
担当教員:村山祐子 准教授、平塚聖子 准教授(大学院デザイン科ファッションデザインコース)
参加学生:飯岡千尋、岡田滋、岡林菜々、久保木啓太、小林未来(大学院デザイン科ファッションデザインコース1年)

■伊勢丹JAPAN SENSESキャンペーン宣伝演出の研究

伊勢丹が取り組む「JAPAN SENSESキャンペーン」で、ウィンドウのディスプレイを行ったプロジェクト。このキャンペーンは、日本国内での再発見を目的に各地を回り、その土地の良さを秘めた風土や商品を紹介するものだ。テーマには金沢の伝統と風土を掲げ、地元ならではの視点で表現を試みた。デザインを中心に、企画からデザイン案への展開、施工を担当。具体的なウィンドウ内での構成や素材の吟味などは、伊勢丹専属のデザインディレクターの指導を受けて最終的な完成となった。

素の美「金沢の風土と水」 : 水引

素の美「金沢の風土と水」 : 水引

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期間:2015年3月25日〜2015年4月21日
委託者:株式会社三越伊勢丹ホールディングス
研究体制:プロジェクト型
担当教員:坂本英之 教授、角谷修 教授、鍔隆弘 教授、畝野裕司 准教授、北村賢哉 准教授(デザイン科環境デザイン専攻)
参加学生:上島未紗子、川上すみれ、中内萌木、早川真央、林季里(環境デザイン専攻2年)、平川美帆(環境デザイン専攻1年)

金沢美術工芸大学の社会連携プロジェクトが本格的に始動してからの実績は約160件。毎年約20件ほどのプロジェクトが実現しており、参加希望者も多いという。文部科学省の調査では、大学と民間企業との共同研究費受入額は年々増加しており、平成26年度には初めて400億円を突破したという。今後もますます学生が社会の一員となって活躍できるような取り組みが増えることに期待したい。

【これまでの金沢美術工芸大学 産学連携の取り組み】
http://school.japandesign.ne.jp/kanazawa/sangaku/archive.html

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