デザインの手法や発想法、思考法を身に付けることが、あらゆるビジネスの現場で役に立つ—そういった声が徐々に広がりを見せつつあります。では、実際にデザイン研修やスクールはどのような背景のもとに導入され、企業の課題解決や人材育成をサポートしてきたのでしょうか?
前編に続く本記事では、企業向けのデザイン研修において豊富な実績を持つ株式会社インフォバーン、株式会社グッドパッチ、株式会社ニジボックスの3社を取材。各社ともデザイナーに限らず、商品開発や経営企画、事務といったさまざまな領域の人々を対象に企業研修を行っています。
実際の利用者の声も交えながら、企業が抱える課題感やそれらをサポートするサービスの特徴についてうかがいました。
INFOBAHN DESIGN SCHOOL/株式会社インフォバーン

(以下、株式会社インフォバーン 木継則幸さん回答)
■受講する企業・ビジネスパーソンが抱える課題や悩み
「これまでの仕事の仕方が通用しない」—近年、こうした悩みがさまざまな業界から寄せられています。与件に沿って与えられた課題をこなす力はあっても、自ら課題やテーマを見つけて事業を構想する段階でつまずく。指針となるビジョンを描けない。ゼロベースで構想し仮説を立て、最後までやり切る経験が得にくい。そもそも生活者としての顧客像を捉えきれない……こうした問題が根底にあります。
既存のデザイン思考の型をなぞるだけでは成果に結びつかず、また上流の思考は難しく再現しづらいと感じる方も少なくありません。表層のスキル以前に、その土台となる創造性・クリエイティブマインドそのものを育てたいというニーズが共通しています。
■サービスの特徴・強み、身につくスキル
INFOBAHN DESIGN SCHOOLでは、デザイナーに限らずあらゆる職種の方が、生活者の深層心理に迫る顧客洞察から、システム的思考で自社独自の提供価値を構想するまでを実践的に学びます。

最大の特徴は、ビジョンデザインやアブダクション思考(仮説的推論)、問いの立て方、仮説づくりといった一見抽象的なスキルを、明快なロジックと研修プロセスに落とし込んでいる点。現場に戻っても高い再現性で実践でき、その手法をチームで共有することができます。
企業や組織のデザインパートナーとして新規事業を創出してきた実績をプログラムの土台にしているので、構想からプロトタイピング、ブランドコミュニケーションまでを一気通貫で実践的に体験できる点も好評です。
■受講生の声
「明日からの、仕事のやり方が変わった」—修了後に最も多くいただくのが、この実感の声です。難易度の高そうなインサイト探索や問いのデザインなどのワークも、緻密なプロセスに落とし込まれているため、受講生は一歩一歩確実に進められ、フレームワークの社内共有や実務展開もしやすいと好評です。
また、「与えられたタスクをこなすだけでなく、能動的に提案できるマインドに変わった」「ビジョンづくりからスタートし、他部門やクライアントを巻き込みながらプロジェクトを円滑に協働できるようになった」という自律的な行動変容や、他社・他年代とのセッションが刺激的だったという声も多数寄せられ、現場で即自走できる再現性の高さと異業種交流による触発性が喜ばれています。
https://idl.infobahn.co.jp/services/designschool
Goodpatch Design Workshop、他/株式会社グッドパッチ

(以下、株式会社グッドパッチ 島田賢一さん回答)
■受講する企業・ビジネスパーソンが抱える課題や悩み
個人の場合、「デザイン思考やUI/UXの知識はあっても実務への活かし方が分からない」という実践の壁に直面されている方が多いです。また組織としては、DXや内製化の推進に伴い、UX/CX人材が求められるものの、「社内に育成や採用のノウハウがない」「人材ポートフォリオの描き方が分からない」という課題を抱えています。
受講されるみなさまは共通のデザインプロセスを体感して、現場に「共通言語」を作り、自発的に共創・自走できる体制を目指しています。そのために、体系的な知識の習得と、人材育成プロセスの確立に向けた「客観的な外部の視点」を求めて依頼されることが多いです。
■サービスの特徴・強み、身につくスキル
ファシリテーション&コーチング専門チーム「Marble」は、デザイントレーニングなどの人材開発や組織開発支援プログラムを提供しています。個社の本質的な課題に寄り添った提案を行い、誰もが楽しみながら熱中できる体験型ワークとして設計しているのが特徴です。

磨かれるスキルはおもに3点で、人の心理を大切にする「ユーザー視点」、素早く形にする「プロトタイピングスキル」、対立を建設的に扱い納得解へ導く「ファシリテーション力」があります。これらは日常業務の改善や新規事業のアイデア創出、部門間協働の共通言語化、AIなどを用いたチームの合意形成などに広く活かされます。
受講を通じて、自発的な行動変容と組織の活性化を後押しします。
■受講生の声
開口一番に「楽しい」と言われることが多く、その「楽しさ」がポジティブな記憶となり、「学びと共働のワクワク」を実感できるからこそ現場で一歩を踏み出すマインドを育んでいます。実際に「研修をきっかけに楽しく仕事ができている」「簡単に形にする衝撃を味わい、DXへの苦手意識が減った」など、業務への向き合い方に確かな変化が起きているようです。
グッドパッチのファシリテーターには「ワークショップデザイナー」のトレーニングを受講しているメンバーも多いのですが、支援企業の事務局の方にも、Marbleのプログラム導入後にワークショップデザイナーの講座を自発的に受講されるなどの行動変容が生まれており、主体的な学びと実践の輪が広がっています。
https://workshop.goodpatch.com
NIJIBOX College/株式会社ニジボックス

(以下、株式会社ニジボックス 岸廉太郎さん回答)
■受講する企業・ビジネスパーソンが抱える課題や悩み
UXをどこから学べばよいかわからない「学習課題」、学んだ知識を実務でどう活かせばよいかわからない「実践課題」、一部の担当者はUXを意識しているが組織全体に浸透していかない「組織課題」など、さまざまな課題を抱えるケースが見られます。
その背景には、自社サービスの成長が頭打ちになり「方向性が定まらない」「売上やユーザー数が伸びない」といった事業課題や、「作り手の思い込みと顧客が本質的に求める価値との間にギャップがある」という課題意識があります。
また、「デザイナー以外の職種のメンバーもUXへの理解を深め、視点をそろえることで事業成長を促進させたい」「業務の内製化を進めるための基盤作りをしたい」といった、事業推進に関する課題を抱えているお客様もいらっしゃいます。
■サービスの特徴・強み、身につくスキル
「NIJIBOX College」の最大の強みは、UXを5段階モデルに沿って基礎から実践まで体系的に学べる点です。ビジネス戦略、UXを実践するための組織の課題、サービスの設計、要件定義、UIデザインまでのテーマを包括的に扱っていることが特徴です。本講座を通し、現場は戦略を意識した実践力を、経営層は施策の根拠となる理論や思考法を身に付け、組織全体で共通認識を持って事業を推進できる力を養うことを目指しています。

座学とワークショップを併用し、「UXデザインをやった気になる」ではなく、「なぜ重要なのか」「要点はなにか」を理論と実践の双方で体得できます。
また、AI活用やPdM(プロダクトマネージャー)向けのUX戦略など具体的な課題解決のためのカリキュラムも用意しています。
■受講生の声
多くの受講者から「これまでは部分的なところしか理解していなかったので、全体像を学ぶことができてよかった」など、体系的な学習によってUXの理解が深まったという感想をいただいています。
また、「短期的な数値ではなく、長期的に見てUXデザインをすることも大事だと感じた」など、新たな気付きを得られたことや、「組織全体でUXに取り組むことの必要性について再認識した」という声もいただきました。さらに、「戦略がアウトプットにつながるということをしっかり意識していきたい」など、今後の業務に活かしたいという前向きな声も多数寄せられました。
https://cp.nijibox.jp/nijiboxcollege
以上、前編・後編を通して計6社による「デザイン研修」をご紹介しました。テクノロジーが急速に発展し、先を見通すことが難しい今、問いを立てビジョンを描く力やDXに対応していく力、UI/UXの考え方がますます求められています。学び×デザイン情報サイトのSkhole by JDNでは、こうしたさまざまな課題に対応するデザイン研修事例を今後もご紹介予定ですので、ぜひご注目ください!
編集:JDN編集部




